横浜市はこのほど、横浜市指定文化財として新たに3件を指定した。その1つ、横浜市歴史博物館(中川中央)所蔵の「街頭紙芝居 附(つけだり) 舞台・拍子木」は、戦後間もなく流行したもの。同館ではこの紙芝居を含む文化財などを公開する企画展を1月11日まで開催する。
今回指定を受けた街頭紙芝居は、1946年から1957年頃にかけて東京都内や磯子区で街頭紙芝居を上演していた同区の故・鷲塚隆さんが2011年、市歴史博物館に寄贈。現役を退いた後に収集した紙芝居253巻(2700点)のほか、上演する木製の舞台、客寄せや効果音を出す時に使ったとみられる拍子木も贈られた。
1953年にテレビ放送が開始され、家庭にも普及し始めると街頭紙芝居は急激に衰退。東京周辺に9社あった紙芝居の制作会社は60年には全て廃業したという。また、紙芝居の多くは役目を終えると古紙などに使われ、その多くが失われた。しかし鷲塚さん所有の19タイトル中「少年スピード王」「赤外流星人」「大怪獣ダイラ」の3編は全巻そろっている。
市教育委員会事務局担当者は「シリーズ全巻が残っているのは全国的にも珍しい」とし、今回の指定に至ったと話した。
上演会も開催
同館は毎月最終土曜日に街頭紙芝居を実演している。これは鷲塚さんの「世のため人のために使ってほしい」という思いを継いで行われているもの。企画展会期中は19日、22日、23日、26日、27日にも実施される。鷲塚さんの弟子である岸本茂樹さんを中心に当時さながらの口上で披露される紙芝居に、よく見に来るという港北区在住の石黒義温(よしはる)くん(9)・鷹敏(たかゆき)くん(4)は「絵本や漫画より面白い」と話している。
同館担当者は「指定され、大切に保管するのはもちろん実演も続けて文化を継承したい」と話す。
「横浜市指定・登録文化財展」のほか、「横浜の遺跡展―港北の狩人たち」も現在同時開催している。入場無料、1月11日まで。
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