淡島睦會会長就任後、初の例大祭を開催した 加藤 紀仁さん 折本町在住 41歳
伝統と思い 肩にのせ
○…300年の歴史を有し、人々に親しまれる淡島社。神輿を運営する淡島睦會が30周年を迎えた昨年、3代目会長に就任。約20人の会員を率いる。3日の例大祭は大盛況に終わった。「無事に終わってほっとした」と胸をなでおろす一方、今回は会長として先頭に立って誘導していたため、「本音を言えば担ぎたかったな」と冗談交じりに笑う。
○…県内各地の祭りにも神輿を担ぎに出る。文字通り「お祭り騒ぎが楽しくて。神輿会を通じて沢山の人と交流できるのもね」。神輿には同会の創設メンバーでもある父の後について幼い頃から参加。次第に大人たちのように勇ましく担ぎたいという思いを強くし、高校生の頃ようやく担ぎ手に。100人以上が一体となる瞬間に魅了された。大きな祭りになると10時間にわたって練り歩き、肩の皮がむけて血がにじんだことも。それでも「自分も周りも負けず嫌いだから、若い頃は張り合っていた。『大丈夫か?』って聞かれても『全然』って平気な顔して担いだりね」。右肩の神輿だこが担ぎ手の勲章だ。
○…植木屋「川根園」を地元の折本町で営む父の背中を見て育ち、自然と自分も同じ道へ。父は造園を、自身はブルーベリーや観葉植物の苗木を生産、販売する。日ごとに表情を変える植物の様子を見ながら温度管理や挿し木を行う。気を遣う作業だが、「開発前の草木が茂る地元で育ったから性に合ってる」と目を細める。販売先に「『お前の所の木はよく育つ』と言ってもらいたい」。その一心で日々植物と向き合う。
○…「お祭り男」は、半纏を脱ぐと意外にも東野圭吾を好む読書家。仲町台の居酒屋にふらっと足を運んでは、顔なじみの常連客と笑い話を咲かせながら飲み明かす。人見知りだという自分をさらけ出せるのが飲み会、そして祭りだ。「伝統を絶やすことなく、みんなに喜んでもらえるような活動をしたい」。担ぐ神輿には熱い思いを乗せている。
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