横浜市は妊娠初期から産後にかけての相談に継続的に対応する「母子保健コーディネーター」の全区配置に向け、7月末に都筑区を含む3区でモデル事業を開始した。配置から1カ月が経ち、利用者からは「相談できる場所があるのは安心」という声が上がっている。
母子保健コーディネーターは、保健師や助産師などの資格を持った専門職。母子保健に関する専門性を活かし、母子健康手帳交付時に妊婦と面談し、個々の状況にあった情報を提供する。この夏から都筑区、泉区、南区に配置され、都筑区こども家庭支援課には現在2人が交代で常駐している。
従来は妊産婦からの要望があれば相談に応じていたほか、第一子の場合は助産師らの自宅訪問、地域ボランティアの母子訪問などが行われていたが、行政側から接触する機会が少なかった。
新体制では、これまでの対応に母子保健コーディネーターによる支援が加わる。母子手帳交付と同時に面談を行い、産前産後の悩みを傾聴。産後4カ月までの流れをまとめた「マイカレンダー」で各検診や両親教室などの時期を確認し、一緒に今後の予定を組み立てる。
また「出産する病院が決まっていない」「妊娠中に転居する可能性がある」など、早期対応が必要な場合は後日電話や訪問で連絡を取り支援を続ける。さらに、区は都筑区子育て支援センターポポラ(ショッピングタウンあいたい5階)と連携。「区役所は敷居が高い」という人はポポラでも出産、育児相談ができるという。
都筑区は転入者が多く、周囲に友人や親族など相談できる人がいない場合も少なくない。市は、こうした取り組みで妊産婦の不安や孤立に対応するねらいだ。
試行錯誤し継続
配置から1カ月。区は8月中に103組の妊婦や夫婦と面談した。母子保健コーディネーターの大野知子さんは「妊婦さんは、不安や気になることがあっても具合が悪かったりして言いたいことを言えないこともある。辛そうなら『また今度にしましょうか』と提案をします」と常に妊婦を気遣った対応を心がける。試行錯誤の連続だが、「産前から利用できるヘルパーのご案内をした時に『教えてもらって嬉しい』と言っていただいた」と手応えも実感している。
昨年区内に転居し、今年7月に第一子を出産した大熊町在住の女性(30)は「施設の雰囲気がわからないので、どの保育園や小児科がいいのかわからない」と育児の不安を口にする。母子保健コーディネーターについては「出産した病院には産後しばらく経つと相談に行きづらい。相談できる人がいるのは安心です」と話した。
同課は現在、面談をした人が妊娠8カ月を迎える頃に送る手紙の手配を進めている。「コーディネーター事業はまだ始まったばかり。段階的に改善しながら続けていきたい」と話す。
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