23日・24日に都筑公会堂で第一回記念公演を行う「ミュージカル８」代表の 前田 慶治さん 港北区在住 50歳
「誰もが輝ける場所」で光る
○…初演が近づき、出演者やスタッフ総勢約70人の稽古や準備に熱が入る。上演作品「ＫＡＭＵＩ」は幼い野ウサギが理想郷を求めて仲間と冒険の旅に出る物語。作中の大きなテーマとなっている「コミュニティー作り」は、成立以来発展を続けてきた都筑区を重ねている。「第一作ということで手探り状態だったが、この一カ月で見えてきた。良い作品になる手応えがある」と自信をのぞかせる。
〇…ミュージカル８の前身となる団体の舞台に娘が出演したことがきっかけで、05年から裏方を手伝い始めた。ミュージカルを通じたふるさとづくりを目指してきた同団体は発足20年を節目に解散。「一つの役目を終えた。その流れを汲み、より質の高い演劇をやろうという声が上がった」。出演者には演劇経験を有する役者らを起用し、稽古や舞台装置はプロ仕込みだ。代表としては専門的な分野から一歩離れ、広報や諸手続きのほか、観客と同じ目線で演技を見て助言をするなど縁の下の力持ちに徹してメンバーを見守る。
〇…兵庫県神戸市に生まれ。小５から高校まで続けた卓球で部長を任されることもしばしば。「上手かったのでなく、部内を調和させる係」と苦笑する。就職を機に神奈川へ移り、今は銀行に勤めながら代表との二足のわらじを履きこなす。「裏方をやるまでミュージカルに接したことがなかった。こんな自分でも役に立てるということが楽しい」。舞台に立たなくても、大道具に設営、衣装製作など、どこかに誰かが輝ける場所がミュージカルにはある。
〇…公演の衣装係を担う妻や、大学生の子ども２人とも演劇談義に花が咲くほど、気づけばミュージカル中心の生活。「もっとステップアップして、いつか大きな会場で上演したい」。センター北駅そばには現在、区民文化施設等の建設構想が進められている。ここでのこけら落とし公演を夢見ながら、記念すべき初公演の幕が開くのを待つ。
