「DVMsどうぶつ医療センター横浜」では毎夜、愛犬など多くの動物が飼い主に連れられ救急診療に訪れる。一刻を争う緊迫した現場の実態を、3年前から代表取締役を務める新井弦さん(44)に話を聞いた。
市内外からアクセスしやすいようにと第三京浜道路港北IC(インターチェンジ)近くの川向町に前身の「横浜夜間動物病院」が2004年、獣医師54人の出資により開設。当時市内に夜間専門の動物病院はなく「無獣医時間帯をなくし、飼い主の不安を軽減したい」と獣医師の切なる思いを形にした。犬や猫、ウサギ、ハムスターなど年間約1万5000件もの治療を行い、日々奮闘している。
一般的なまちの動物病院では、診療時間や幅広い治療分野に対応できる設備、技術には限界もある。同院では午後7時から午前9時まで、1日平均20匹ほどの動物が搬送される。
ある夜11時、腹部が急に腫れた犬が運ばれてきた。検査の結果、胃や脾(ひ)臓がねじれることで血が通わず、胃腸内のガスが膨張し、吐き気をもよおす胃捻転と判明。時間が経つほど助からない場合が多い病気のため、緊急手術で、無事小さな命は救われた。そのほか交通事故でけがを負った動物など、飼い主らの真夜中のSOSに365日、冷静かつスピーディーに応えている。
また日中は他病院から高度医療が必要な動物を受け入れて診察する二次診療も導入。現在、100以上の病院と提携を結んでいる。港北区の「はる動物病院」の院長も務める新井代表は「市内の獣医師は横の繋がりが強い。飼い主の安心に繋がっている」と話す。
約20年前、北海道で新人獣医師として勤務していた新井代表。衰弱した犬を連れた老婆が診療に訪れ、最善を尽くしたが老衰で亡くなった。その時、飼い主から行き場のない怒りをぶつけられたという。「あの犬は老婆にとって心の拠り所だった。ペットは家族同然ということを再認識した」
老婆との出来事を胸に刻み、自身も愛犬=写真=と共に過ごす日々。「地域の方に『横浜で動物を飼うことは安心だ』と思ってほしい。今後も獣医分野をさらに盛り上げていきたい」
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