IBF世界女子アトム級チャンピオンとなった花形ボクシングジム(池辺町)所属の 花形 冴美さん 旭区在住 33歳
「あきらめてたまるか」
○…デビューから10年。5度目の世界戦で念願のベルトを腰に巻いた。「支えてくれた人たちの声援が力になった」。日本ボクシングコミッションの女子解禁を受け、08年にプロテストに合格。女子プロボクサーの第1期生として業界をけん引してきた。「見渡せば多くの選手が辞めていった。センスも力もない私がチャンピオンになるなんて」と感慨深そうに語る。
○…中学はジェフ市原レディースのサッカー選手、高校ではハンドボール選手として活躍。「スポーツは何でもできた」と持ち前の運動神経を発揮した。その後、医師を目指し北里大学に入学。当時格闘技ブームで、鍛え抜かれた選手が闘う姿に「かっこいい」と体が熱くなった。好奇心が頂点に達した大学3年の時、親の反対を押し切り中退。「何かの世界で1番になりたい」と覚悟を決め、花形ジムの門を叩いた。
○…本名は田中冴美。元世界王者で師匠の花形進会長の名字を譲り受けた。23歳の初デビューは眼窩底骨折し、敗戦。「あきらめてたまるか」と強い負けん気で鍛錬を積み、16年には東洋太平洋の頂点に立った。昨年7月、4度目の世界戦に挑んだが惜しくも王座を逃し、2カ月後の再起戦ではまさかの敗退。「もうチャンピオンになれないのかな」と一つの道を極める難しさを痛感した。ジムでも屈指の練習量を誇るが、失意で2カ月ジムを休み、悩んだ末に選んだ道は現役続行。「もう逃げない」。不屈の精神でリングに舞い戻った。
○…普段は、町田市のラーメン店で働きながら、週5回はジムで汗を流す。一晩に日本酒一升を飲むこともあるという大酒豪。「楽しむ時は楽しまなきゃ」とメリハリも大事にする。「もう逃げも隠れもしない。勝ち続けて強い王者でいたい」。新女王・花形は闘い続ける。
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