都筑区民で結成した団体「本のお直しキャラバン隊」は、都筑図書館(三田稔館長)などにある損傷や劣化の激しい本の修理を行っている。本を大切に扱う心を来館者に伝えるため、キャラバン隊は現在、同館で初めて書籍の補修を実演中。本をよみがえらせる彼女たちを取材した。
昨年度、年間貸出数が100万7411冊と市立図書館で最も多く、同時に破損や劣化している本も多かった都筑図書館。これまでは図書館司書が修復していたが、作業が追いつかず手を焼いていたという。三田館長は「修理待ちの本が多く困っていた」と振り返る。
区内の他施設からも本の修理の要望があったことから同館と区役所、区民活動センター職員らは2年前、読書推進の担い手を区民から募る取り組みの一環として「本の修理ボランティア養成講座」を開講。講座には約20人が参加し、同館司書や鶴見区で製本ボランティアを行う団体から、修理手法の指導を受けた。
昨年3月には講座の参加者で「本のお直しキャラバン隊」を結成。都筑図書館以外にも、区内の地区センターやケアプラザなどで本の修理活動を続けてきた。昨年の4月からすでに376冊の本を修復させている。
「壊れるのは一瞬でも」
都筑図書館では毎年「泣いている本たち」展を開催。図書館の利用者に本の扱い方について考えてもらおうと、書き込みや切り取りなどで損傷した本を展示している。
修理の実演は今回が初めて。同館職員は「壊れるのは一瞬でも直すには時間がかかる。実際に見ることでその実態を知ってほしい」と話す。
25日の補修日にはキャラバン隊から2人のスタッフが参加。木工用ボンドなどの接着剤を筆や割り箸を使って伸ばすなど器用に作業する様子に来館者は足を止め、食い入るように眺めた。本を借りに訪れたという男性は「緻密な作業。こういう活動をしてくれる人がいるから、快適に本が読める」と感謝を述べた。キャラバン隊の松村恵理子さん(65)は「これをきっかけに、皆さんが本を大切にしてくれたら嬉しい」と笑顔を見せた。
修理の実演は展示期間中の2月5日(火)まで。今後も区内で修復作業を行っていく予定だ。
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