2021年度のヘレンケラー・サリバン賞を受賞した瞽女研究家の 川野 楠己さん 都筑区在住 91歳
生き方に寄り添い光を灯す
○…社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会が主催するヘレンケラー・サリバン賞をこのほど受賞した。同賞は視覚障害者を支援する人に贈られる賞。三味線を奏でながら各地を歩いた視覚障害者の女性旅芸人「瞽女(ごぜ)」について長年取材し記録してきたことが評価された。「まさか自分が受賞するとは驚き。障害者の生き方こそ健常者の光となる。これからも活動を続けていきたい」と力を込めた。
○…東京都出身。ラジオ全盛時代に育った少年時代。「向こう三軒両隣というラジオドラマが好きで、音の世界で人情機微を伝えられるのは凄い」とラジオの世界に魅了されNHKに入局し、様々なラジオ番組制作に携わった。なかでもNHKラジオ第2放送で視覚障害者のための番組『盲人の時間』を25年間担当。「生きる自信を与えたい」と視覚障害者が自立するための努力を調べ、生き方を紹介し続けた。
○…番組の制作で瞽女の小林ハルさんと出会ったことを機に瞽女文化の研究が始まった。ハルさんの芸の深さに感動し「これだけの生き方を残さなければ申し訳ない」と著書やCDの制作、顕彰する会などを立ち上げ、退局後もライフワークとして文化を伝え広めている。著書を読んだ監督から声がかかり、昨年映画化もされた。
○…91歳でもまだまだ現役。原稿やメール作りと忙しい日々を送る。「長生きの秘訣なんてないよ」と話しながらも夕食の時の100ccの日本酒は長寿の秘訣のようだ。現在は11月に新潟で行われる映画の上映会に行くことは楽しみのひとつ。「新潟に行ったらハルさんの墓参りをして『映画にもなってこれだけの光が残っていますよ。ハルさんは生きていますよ』と伝えたいね」
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