コラム「学校と社会をつなぎ直す」㉑ 学校から見た運動部の地域移行 桐蔭学園理事長 溝上慎一
2022年6月6日、スポーツ庁の有識者会議「運動部活動の地域移行に関する検討会議」は、23年度から3年間を目処に、運動部活動を段階的に地域での活動に移行するよう提言した。運動部活動それ自体については、いろいろ議論されているので、ここでは学校教育の視座から見た問題をお話しする。
教科等の学習カリキュラムだけでなく、給食や掃除、クラブ・課外活動なども通して、児童生徒を学校生活全体の中で全人格的に教育・指導してきたのは、日本の学校教育の伝統的文化である。少子化や指導者不足、教師の負担などを理由に、運動部活動を地域へ移行させる取り組みは避けて通れないものであろう。しかしながら、学習カリキュラム以外の「課外活動」をどう再編して、児童生徒の学校生活の充実を図っていくかは大きな課題であり、先般の高大接続改革、学習指導要領改訂に匹敵する大改革となるに違いない。
多くの児童生徒は、内容やおもしろさだけで学習に動機づけられるわけではない。友達と会ったりクラブ活動等をしたりして学校生活を充実させ、そして「勉強も頑張ろう」となる。学校は将来的に部活動の実際上の指導運営を地域に任せることになっても、学校運営の一部として残るような形を模索してほしい。コミュニティスクールの経験も活かせるはずである。部活動が児童生徒になぜ求められ、彼らの発達を支えるのかを考える機会にしてほしい。
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