大正末期〜昭和の北山田から 第24回 都筑区の歴史を紐解く 文・絵 男全冨雄(『望郷』から引用)
嫁入り
嫁を迎える家は、朝早くから隣組、講中の方が大勢手伝いにきて、大変なにぎわいであった。
昼間でも講中一家の者が提灯を手に、丈口から玄関まで二列に並び、嫁を迎えた。休む間もなく、本家の叔母さんが、隣近所に嫁を引き回し、挨拶してから座敷で宴会が始まり、夜中過ぎまで続いた。翌日は、近所の方を招待してお披露目の宴が開かれた。
結婚式の夜は、近所の青年が集まり、振舞酒に酔いしれたが、酒、肴が少ないと悪戯が始まり、若いから力まかせに、お墓の石塔を担いで庭に建てて帰ってしまう。悪戯されないよう、本家役は座敷の采配をしなければならないし、外の振舞酒の判断と大変だった。
若い衆とすれば、仲間の結婚式を祝うのだが、やっかみが半分で和気あいあいとして、新郎新婦を茶化し、声援を送り、祝っていた。
三十年代から結婚式場を使うようになり、各家庭では行われなくなった。
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嫁ぐ朝 仏前永く 春がすみ/露の庭 草履しのんで 嫁ぐ朝/あの桜 馴染みの顔が 浮かぶ春/思い出が 恋し歳なり 松過ぎて/初参り 財布覗いて 何祈る/神殿で 年越し接待 手をこすり/朝露に 歯切れ良き鎌 眠気醒め
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