川井本町在住のフリーダイビング日本代表選手として、本紙1月20日号で紹介した石渡素子さん(37)。記事の掲載当日、自宅に一本の電話が舞い込んだ。
小学生のとき、水泳スクールで一緒だった1歳年下の友人、Kさんの母親からだった。息子の旧友の活躍ぶりを記事で見て、二十数年ぶりに電話をかけたのだという。そこで初めて知らされた、Kさんの他界―。
不在だった本人に代わり父親が対応したため、相手の連絡先も不明なままに。「せめてお母様ともう一度お話がしたい」。その日は、Kさんの月命日だった。
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旧友への思いを胸に、そして今の日本が元気になるよう祈りを込めて、エーゲ海へ―。9月19日から25日に開催されたギリシャ世界大会では、3度目の日本代表選手に選ばれた。足ヒレなしの種目「コンスタントウェイト・ウィズアウトフィン」で26mを記録し、自己ベストを更新。種目女子23人中13位にくい込んだ。
本番2日前に体調を崩し、潜水すると鼻血が出る症状に見舞われた。そんなとき、選手団の仲間に「無理せず休んで」と声をかけられ、勇気を出して休養したことが、予想以上の好成績につながったと振り返る。
競技歴5年目の石渡さんは、地元スポーツクラブで水泳のインストラクターをする傍ら、フリーダイビングに挑戦し続けている。9割以上がアマチュアで、競技者人口は100人に満たないという世界。厳しい環境でも、帰国後に両親や仲間、生徒たちが「おかえり」と歓迎してくれると、嬉しさがこみ上げてくる。
「自分がもらってきた思いやりを、今度は多くの人に与えていきたい」。思うように記録が出ないとき、心の支えになってくれたのはいつも身近な仲間だった。
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「この記事をKさん(の母親)がご覧になって、もう一度こちらにご連絡をいただけたら」と石渡さんは願っている。
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