別団体の日本人世界王者が激突した、史上初の王座統一戦から1カ月―。
WBC世界ミニマム級王者、井岡一翔(かずと)選手(23)に惜敗したWBA同級王者の八重樫東(あきら)選手(29)は、次の舞台に向けて確かな一歩を踏み出している。
6月20日に大阪府内で行われた統一戦は、0―3の判定負けで幕を下ろした。直後はショックを受けたが、「負けた気がしなかった」と引きずることはなかったという。「勝つために足りない部分、修正すべき点が見つかったことは大きな収穫。これからにつながる敗戦だった」
序盤から両まぶたが大きく腫れ、視界が遮られたが、それでも前に出続けた。「中盤あたりからは(井岡の)足しか見えなくなったが、できることを最大限にやらなきゃと思った」。最終12ラウンドまで続いた激しい打ち合いは、観衆の目を釘付けにした。
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「頑張ってこられたのは、家族の支えがあったから」。試合前「ケガしないでね」と声をかけてくれた1つ年下の妻・彩(あや)さん。その横には、負けて悔し泣きする圭太郎君(小1)の姿があった。今は休養中で、圭太郎君、志のぶちゃん(1)と過ごす時間も増えた。「少し早いお盆休み」と、故郷の岩手県に帰り、8月から練習を再開する予定だ。
周囲からは、井岡選手との再戦を望む声も聞こえてくる。「こんな強いヤツ同士が戦うとどうなるんだ、と、皆に感じてもらえる注目カードになれば嬉しい。簡単には実現できないが、リベンジしたい」
強者同士の日本人対決は注目を集め、盛り上がる。強さと立場が上になるほど、ファンの期待も高まっていくはずだ。
地元の温かさ肌で感じて
7月17日には、地元の万騎が原ふじみ商店街自治会のメンバーら関係者による「お疲れ様会」が旭区内の飲食店で開かれ、約40人が八重樫さんを囲んだ。
「あの試合を機に、応援してくれる人が増えたと感じている。『勝ってたよ』『涙が出た』と言ってくれる人もいて。今まで自分を知らなくても、テレビ中継を見てくれた人もいた」
近所に住む佐々木明男さんは「試合後のさわやかな態度が印象的だった。負けは認めなければいけないが、いろんな意味を込めて『負けてない』」と語気を強める。八重樫さんが引っ越してきて、2年近い付き合いになるという佐々木さん。「圭太郎君が父親の言うことを聞いていて、しつけがしっかりしてるなと感じた」
「都会の横浜では、近所付き合いがそれほどあるとは思ってなかった」。地方出身の八重樫さんには身寄りがなかったが、子どもの面倒を見てくれたり、気さくに声をかけてくれる近所の人たちには感謝の気持ちでいっぱいという。
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ボクシングの一番の醍醐味は「試合に勝ったとき。その瞬間がほしくてプロでやってる」。そのときにしか味わえない最高の感覚を追求し続ける。「限界を感じた時点でやめなきゃいけないけど、まだその時じゃない。やれる限りはやりたい」
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