東日本大震災の発生から間もなく2年。市立中尾小学校5年生は、震災の被害を受けた岩手県大槌町で暮らす金山文造さん(64)との交流を続け、「自分たちにできること」をテーマに支援を続けている。1月22日には、同校に金山さんが来校し、念願の対面を果たした。
津波の大きな被害を受けた岩手県大槌町。荒れ果てた大槌川の河川敷を菜の花畑にしようと立ち上がったのが、金山さんだ。その姿に共感した人が集まり発足した「菜の花プロジェクト」は、現在も進められている。同校5年生は前年度、総合的な学習の時間を使って募金活動などを通して活動を支援してきた。
5年生に進級してからも、児童からプロジェクトを継続したいという声はやまなかった。その声を金山さんに届けたところ、「心の支援が欲しい」という言葉が返ってきた。児童たちはそれに応じようと、物資ではなく心の支えとなるような支援を考案。そんななか、金山さんの来校が決まり、児童たちは「自分たちにできること」をテーマに考えた「心の支援」を発表することになった。
「わー!金山さんだ!」。体育館入口から金山さんが見えた途端、歓声がわいた。児童らは花道を作ってお出迎え。緊張した表情の司会役の児童の進行で、発表が行われた。今回、児童らは7グループに分かれ、菜の花をテーマにした紙芝居や、菜の花を使ったレシピなどを発表。大きな布に「絆」という文字をクロスステッチで縫った「刺繍グループ」の児童は「1針1針、『頑張って』という思いを込めて縫った。ずっと応援しています」とメッセージを送っていた。
最後は「応援歌グループ」による歌が披露された。「未来へ」と題した応援歌は、児童が作詞・作曲したもの。「どんな事があってもわたしたち応援しているよ/笑顔と勇気になる夢乗せたエールを送るよ/だから希望をもってみんなと未来へ」―。子どもたちの思いが詰まった歌に、金山さんは立ち上がり、じっくりと聴き入っていた。「いい歌だった。感動した」と口を開き、大きな拍手を送った。
「ずっと応援したい」
発表後、金山さんは「時間が経つと震災のことは忘れられてしまう。だからこそ心の支援が欲しかった。自分たちでやったことはきっと忘れない。支援する側も、される側も、忘れないことがいちばん大事」と子どもたちに優しく語った。
退場するときには、子どもたちが金山さんを囲み、もみくちゃになる場面も。松本翔君は「金山さんは優しくて、話しやすい人だったし、僕たちの話もしっかり聞いてくれてうれしかった。これからもずっと応援したい」と話していた。
金山さんは「子どもたちに力をもらい、『感謝』の2文字しかない。復興は表面上には見えづらいが、被災地では一丸となって人が動いている。東北の『粘り』の気質で活動を続けていきたい」と語った。
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