3月は国が定める自殺対策強化月間。警察庁の発表によると、昨年の全国の自殺者数は15年ぶりに3万人を下回ったが、依然高い水準を維持している。旭区でも2008年以降、自殺者数が増加していたことを受け、自殺を未然に防ごうと対策を強化している。
横浜市の人口動態統計資料の解析によると、市内の2011年の自殺者数は745人。08年以降、政令指定都市の中で最多となっている。旭区でも同年以降、47人、58人、64人、64人と増加の傾向が見られる。この結果を受け、区では11年に高齢・障害支援課や福祉保健課など7つの課による自殺対策検討プロジェクトを設置。職員を対象に研修を行い自殺の現状や対策の基礎などを習得させた。さらに今年度の区政運営方針では「自殺対策研修・啓発事業」を重点事業とし、旭区老人クラブ連合会や民生委員など地域団体と連携しながら対策を進めてきた。
プロジェクトを中心に進めてきた高齢・障害支援課では、日ごろ自殺に関する相談を受けることもあるという。「追いつめられる背景には病気や経済的な困窮、子育てや介護などさまざまな悩みがきっかけとなっている。まずは職員が悩みのサインに気づき、専門機関につなぐことが重要」と同課ではしている。
昨年10月、区が新事業として始めたのが、商店が接客を通じて利用客の悩み事を傾聴する事業「旭区こころの健康協力店」だ。協力するのは旭区生活衛生協議会(中屋敦子会長)に加盟する理容店と美容院、クリーニング店の120店舗(12月末現在)。会話の中から悩みに気づき、関係機関につなぐことで自殺を未然に防ぐことがねらい。
実際に関係機関につないだ事例はまだないが、利用客が協力店のことを周囲に知らせるなど広がりを見せているという。中屋会長は「お客様の話を聞くことは前からやっていたことだが、各店で『気づき』への意識がさらに高まったように思える。特別なことではなく、自然体にやって気づいてあげられれば」と話す。
「自殺」テーマに講演
旭区では自殺対策事業の一つとして、今年の精神保健福祉セミナーを、「孤立を防ぐ」をテーマに開催。湘南精神保健福祉士事務所所長の長見英知氏が「死なせてたまるか」と題した講演を行う。旭公会堂で2月16日(土)午後0時半〜。申込不要、無料(先着450人)。詳細は障害者支援担当【電話】045・954・6145へ。
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