横浜市では2011年から75歳以上の一人暮らし高齢者を支援しようと、実態把握を兼ねた訪問事業を開始。旭区では昨年度から2年間で区内全域をカバーする計画で、今年は8月末から対象者約1400人を民生委員が訪問する。昨年度の訪問では新たに約500人が見守りを希望していることが分かった。
この事業では、住民基本台帳をもとに75歳以上の一人暮らしを名簿化し、その中から民生委員や地域ケアプラザが担う「地域包括支援センター」で要否を検討した上、各地区の民生委員が訪問する。民生委員と顔見知りであったり、ケアマネジャーと契約しているなど、すでに地域とつながりがある人や訪問を望まない人は今回の訪問対象から外れている。
旭区では現在約9千人の独居高齢者(75歳以上)がいるとされ、昨年度は旭区民生委員児童委員協議会(大越由美子会長)で分けている20地区中9地区を対象に、名簿上の該当者4400人のうち1300人を訪問。そのうち約4割にあたる500人が民生委員による訪問や声がけ、地域包括支援センターへの介護保険に関する相談など、地域による見守りを希望した。
大越会長は「今回初めて行政から一人暮らし高齢者の名簿を預かったことが大きい。これまで民生委員だけでは気付けなかった高齢者を訪問できたのは嬉しい」と昨年度を振り返る。
旭区福祉保健課の担当者によると、住民基本台帳上は一人暮らしとなっていても実際は家族と同居しているなど必ずしも実態と合致していないケースも多く、従来は行政も把握が難しい状況にあったという。
同課担当者は「行政と民生委員、地域包括支援センターが情報共有して協力することで、支援を必要としながらこれまで手を挙げられなかった高齢者に気付くことができたのは大きい」と手応えを話す。
今年度は残りの11地区、該当者約4千人のうち1400人を対象に、319人の民生委員(7月1日時点)が約1カ月間で訪問する。
来年度も継続へ
旭区では今年度で区内全域の独居高齢者を訪問する見通しだが、加齢や転入居などで対象者は常に変化するため継続的な取り組みが必要になる。「見守り事業自体は来年度以降も継続する方針」(同課)とする一方、「訪問を望まない人に、行政としてどのくらいの頻度で声をかけるのが適切なのかを判断するのは難しい」と指摘。「名簿チェックなど民生委員らの負担にも配慮しながら、今後も議論が必要」としている。
旭区の民生委員は1人あたり約300人の高齢者を受け持つが、訪問だけでは目が行き届かない部分もある。大越会長は「隣近所の付き合いも大事にしてほしいと、訪問時に呼びかけている。地域のつながりを強めることが、本当の意味で漏れのない見守りになるはず」と語った。
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