2周年を迎えたくつろぎカフェでマスターを務める 新家(しんか) 道敏さん 中白根在住 74歳
珈琲飲みに「よってたもれ」
○…地域のみなさんに『おいしい』と喜んでもらえて嬉しい」。今宿地域ケアプラザで毎月行われている、コーヒーを飲みながら、レコードやおしゃべりを楽しむ「くつろぎカフェ」。2周年を迎えたカフェで、本格コーヒーを提供するマスターとして活動する。きっかけは併設する今宿地区センター祭りでコーヒーを提供していたこと。その様子がケアプラザ職員の目に留まり、声をかけられた。
○…化学会社に勤務していたが、55歳で早期退職。「何かやってみよう」と、未経験ながら都内で喫茶店を約10年間構えた。元来、表に出るのは苦手な性格。「喫茶店のマスターなら大丈夫かと思ったけど、実際は違った。結果的に一番苦手なところを選んだ」と苦笑い。店は軌道に乗っていたが、「自分の家でゆっくりやった方がいいかな」と自宅の一部を自ら改装。熟年カフェ「よったも」をオープンさせた。「よったも」は「よってたもれ」を略した造語。「安い値段でおいしいコーヒーを飲みに、地域の高齢者に気軽によってもらいたい」と穏やかな笑みを見せる。
○…福島県の双葉町出身。東日本大震災前日まで通夜のため、いわき市に行っていたという。現地で被災することはなかったが、祖父母の家が津波で流されるなどの被害にあった。町には今も入れず、避難生活を続ける友人も多い。「個人情報やらで、こっちからは探せない。本当に何もできない」。無念さを滲ませる。
○…今春からくつろぎカフェに加えて、「おいしいコーヒーの淹れ方講座」の講師も務める。サイフォンやドリップでの本格コーヒーを伝授。くつろぎカフェに普段来ている人も参加しているという。また、カフェで出会った人が、店に立ち寄ってくれることもしばしば。「もうすぐ後期高齢者だから」と謙遜するが、年齢を感じさせないエネルギーを放つ。「やめようとは思わない。身体が動く限りはやる。喫茶店ならできる」と語り口に力が入った。
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