5月17日に山下公園周辺=中区=で開催された「2014世界トライアスロンシリーズ横浜大会」。その2日前、大会出場のため来日したオーストラリア人選手の競技用車いすが、飛行機での運搬中に破損。大会出場断念もやむを得ないこの窮地を救ったのは、都岡町の町工場「(有)長谷川製作所」(長谷川秀夫社長)だった。
競技用車いすが破損してしまったのは、「2014世界トライアスロンシリーズ横浜大会」パラトライアスロンの部に出場したニック・ビバリッジ選手。運搬中のトラブルで車体のフレームが折れたり、ひびが入るなど走行不能な状態になってしまった。ビバリッジ選手がこの事態に気が付いたのは15日。同選手と関係者は、すぐに修理できそうなところを調べ、千葉県にある競技用車いすメーカーに依頼した。しかし、他社メーカーということもあり、対応してもらえなかったという。
そんな中、大会関係者の楠里紗さんが、知人の長谷川裕一さんの父が都岡町で町工場を営んでいることを思い出し連絡。裕一さんを通じて、長谷川社長と連絡を取ることができた。
職人魂とおもてなし
長谷川社長がこの窮地を知ったのは15日午後10時ごろ。車体の状況を聞いた長谷川社長は「1回乗るだけなら何とかできる」と思い快諾をした。
破損した車体とビバリッジ選手、オーストラリア人監督とメカニック、楠さんが同社を訪れたのは翌朝16日午前9時半ごろ。長谷川社長はすぐに破損箇所を確認し、フレームの割れている箇所を溶接し、ゆがみを修正。正午には試乗できるまでになり、微調整などを行い午後2時ごろにはすべての作業が完了した。「せっかく、大会出場するために横浜に来たのに、レースに出られないんじゃかわいそうだからね」。長谷川社長の職人魂とおもてなしの気持ちが、短時間での修理につながった。
そして迎えた17日の大会。無事出場したビバリッジ選手は、「PT1-M」のカテゴリーで見事5位に入賞することができた。レース結果を聞いた長谷川社長は「5位になったって聞いて嬉しかった。競技用車いすは特殊で代替がきかないもの。選手がけがをした訳ではないのに、レースに出場できないのは本当にかわいそうなこと。もう少しバックアップ体制が整うといいですね」と話した。
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