ローゼン三ツ境店 瀬谷丸の初売りに殺到 今後は週に2、3日販売
瀬谷区の有志が集まり、被災地に漁船を贈った「三陸沖に瀬谷丸を!」実行委員会(露木晴雄会長)。区民の要望をきっかけに、漁で獲れた魚が瀬谷へ。そうてつローゼン三ツ境店で20日に販売され、多くの人が集まった。
岩手県大槌町で炊き出しを行ったことがきっかけで始まったこのプロジェクト。3ヵ月間の募金活動で集まった3600万円を元手に建造された定置網漁船「瀬谷丸」は、現在順調に漁を行っている。9月に初漁を終え、募金に協力した区民から「獲れた魚を食べたい」との声が上がった。区内のスーパーに呼びかけ、いち早く手を挙げた相鉄ローゼン(本社・西区)協力のもと、10月の報告会で販売を発表。「そうてつローゼン三ツ境店」で11月20日に初売りが行われ、売り場には朝早くから長蛇の列ができた。
前日までに水揚げされた魚約400kgが入荷され、号令とともに午前10時に販売がスタート。瀬谷丸ブランドを証明するシールが貼られたパックには、秋鮭やワラサ、ヤリイカなど約12魚種のほか、1万本に1〜2匹しか獲れないとされる幻の魚「鮭児(ケイジ)」も並んだ。大槌町から碇川豊町長も駆けつけ、区民への感謝と復興の進まない現状を訴えた。露木会長とともに募金に協力した区民へ感謝を述べながら、店頭に立って販売を行った。
先頭で待っていた二ツ橋在住の女性は瀬谷丸の活動当初から応援しており、「獲れた魚を食べたかったし、買って食べることでも大槌の手助けになれば」と話した。また三ツ境在住の女性は、「瀬谷フェスティバルで食べられなかったので、楽しみにしていた。食べることで東北の力になれば」とワタリガニを手に語った。碇川町長は、「見守っているぞという瀬谷区民の皆様の熱意を感じた。遠く離れているけど、繋がりをこれからも大切にしていきたいし、復興の暁には、区民の人を招待してもてなしたい」と話した。
流通経路の確保
「瀬谷丸」が贈られた新おおつち漁業協同組合は津波の被害を受けた組合員が集まり、昨年3月に発足。横浜への出荷は今までなく、流通経路の確保が課題に上がった。今月上旬に露木会長と相鉄ローゼン水産部の松本隆夫チーフバイヤーが現地に赴き、漁協と商談。横浜市中央卸売市場南部市場(金沢区)を経由しての出荷が決まった。漁が休みの土・日曜を除き、平日の週2、3日ほど店頭に並ぶ予定で、漁獲量に応じて日数が増える見込み。同漁協総務課長代理の小國敬さんは、「出来る限り区内の皆さんに届けたいし、新鮮な魚を味わってもらいたい」と話す。1月中旬から3月は漁を行わないため、その間は養殖のワカメやホタテなどを販売する。
チーフバイヤーの松本さんは現地での消費が第一と述べた上で、「関東にはまだ風評被害がある。瀬谷丸をきっかけに安全な魚だとわかってもらえれば」と、今後に期待する。露木会長は夕食にイナダやサバを食べ、「達成感でいっぱい。苦労した甲斐があったのと安心した分もあって、大槌で食べた以上に美味しかった」と語った。実行委員会は今後も現地と相談を重ね、ローゼンの他店での販売も行っていきたいとしている。
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