「第45回技能コンクール」で神奈川県職業能力開発協会会長賞を受賞した 栗原 美樹さん 相沢在住 24歳
一針一針に想い込めて
○…「この順位を取れるとは思わなかった」。南台に店を構えるテーラー丸忠で昨年3月から横浜マイスターの阿部忠悦氏の指導を受け、「第45回技能コンクール」の紳士注文服部門に初参加。技能者が日頃の成果を競うコンクールで20〜30年テーラーとして働く人たちと競い合い、2位相当の神奈川県職業能力開発協会会長賞を受賞した。
○…両親とも教員をしていたため、幼少期から洋裁をする祖母を見て育ったおばあちゃん子。パジャマやワンピースを縫う祖母の姿に憧れ、真似をして人形の服を作ったことも。「原点はここ。今に繋がっている」と当時を振り返る。小、中、高と家庭科部に所属。大学進学にあたり教員の道も考えたが、「やりたいことがあるなら最後までやり遂げなさい」という両親のアドバイスを受け、服飾の大学に進学した。
○…ファストファッションが主流の昨今、婦人服は特にその傾向が強く、「じっくり作る」自らのスタイルに合わなかった。就職活動の際、「1着を長く来てもらうには紳士服だ」と決意し、地元のテーラー丸忠店主、阿部忠悦氏に師事する。紳士服を初めて作った時は製図方法が婦人服と異なることに苦戦。イメージと出来上がりに差があり、悩んだ時があった。阿部氏からの助言もあったが、「アドバイスをもらうのは簡単。何年も着られる丈夫なものを作るには、経験を積まないと身につかない」。失敗を重ねながら縫い続け、徐々に理想へと近づけているところだ。
○…昨年祖母のスーツを作り、現在は父のモーニングを製作中。客相手に作るのはまだ先だが、見据える目標は高い。「この業界は若い人が少ないので、同年代の作り手を増やしたい」。ロックバンドが好きで、札幌までライブ遠征をした熱狂ぶり。「そこでもやっぱり衣装が気になって、ついつい見ちゃうんですよね」。笑顔で話すその姿勢から、進むべき道がはっきり見えた。
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