横浜市内の18図書館で所有する蔵書は約406万冊。そのうち年間約2万冊が無断持ち出し等による所在不明の蔵書として除籍されていることが、定期監査の結果で明らかとなった。市教育委員会では解決策の一つとして、ICタグの導入に向けた検討を進めている。
中央図書館を含めた市内18館のうち、監査対象となったのは鶴見・保土ケ谷・港北・栄の4図書館。09年から13年の5年間で不明除籍となった図書の数は9万5120冊、毎年平均で1万9024冊の図書が消えていることになる。
各図書館では年に1度、特別整理日を設け、図書の整理を行っている。盗難などの所在不明図書は、把握してから3年が経過すると、図書館のデータシステムから除籍される。貸し出し後、未返却となった図書は不明除籍に含まれていない。
所在不明になる主な原因は不正持ち出しで「不明となる本の多くは、良く読まれている文庫や小説、実用書」と中央図書館企画運営課の海老原浩志係長は話す。
今回、監査対象となった鶴見図書館は他の3館に比べ不明除籍図書の比率が高い。これは、同館が貸出窓口を通らずに館内に出入りすることが出来るなど、建物の構造上の問題が大きいと見られ、そのような場合は、図書を書庫入れやカウンター置きにしたり、職員が直接受け渡しを行うなどの工夫も行ってきていると言う。また、05年頃から設置を始めた防犯カメラと防犯ミラーは、昨年までに18館全館にどちらかが設置されている。さらに、死角をカバーするため、職員による巡回も開始している。加えて、利用マナーを呼び掛ける啓発ポスターを全館で掲示、対策を講じてきた。
ICタグ導入検討
こうした対応のほか、市が現在検討を進めているのがICタグだ。今年度の市教育振興基本計画で初めて、ICタグの導入に向けた検討を進めていくことが決まっている。ただ、導入には数億円の経費と膨大な時間を要するなど、課題も多い。海老原係長は「図書館はサービス向上も課題の一つ。所在不明図書の防止だけでなく、付加的な部分も含め今後、導入を検討していく」と話している。
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