瀬谷区獣医師会会長を務める 小林 宏さん 阿久和東在住 62歳
人と動物、共に寄り添う
○…昨年、瀬谷区獣医師会の会長に就任。10月の瀬谷フェスティバルへの参加や、区内各小学校で飼育動物の訪問指導を行うなど、会員8人で区内の動物たちを見守る。「性格的に皆を引っ張るタイプではないけれど」と苦笑しつつ、「人数が少なく、やれることは限られるが、今後も地域貢献をしていきたい」と引き締まった表情で語った。
○…幼い頃から大学時代までを港北区で過ごす。物心ついた時には実家で犬を飼っていて、動物は身近な存在だったが、「手に職をつけたい」と獣医の仕事を目指したのは高校生になってから。大学の授業で行った生体解剖では命の重みを実感し、少なからずショックを受けた。卒業後はインターンで経験を積み、獣医への道を歩む中、「いくら学校で実技を学んでも、実際の現場は全く違う」との思いを募らせた。
○…26歳の時、阿久和東で始めた動物病院。競合が少ない場所を選んだが、開業後しばらくは来院する人がほとんどいない日々が続いた。「駅から遠いこともあり、知ってもらうまで時間がかかった」と苦労を覗かせる。緑園へ往診に行くため、息を切らしながら山を登ったことも。以前は1日20件の診療のうち半分が往診、何でも診ていたというが、現在は飼い主とともにペットも高齢化。昔ほど診察数も多くない。「自分の方が先にいなくなってしまうのではと不安を抱き、飼うことを諦める人もいる。ペットも飼い主がいて初めて成り立つもの」。治療等で動物たちの不安を取り除くことはもちろん、飼い主の思いに寄り添い、配慮することも欠かさない。
○…友人らとバンドを組み、ビートルズなどを夢中でコピーしていた高校・大学時代。今でも音楽は息抜きの一つで、「獣医仲間とライブに出かけるのが楽しみ」と笑顔を見せる。「他の区と同じとはいかないが、瀬谷区でできることを」。人と動物、どちらにも変わらぬ思いで寄り添い続ける。
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