阿久和南部連合の新和自治会(鈴鹿茂会長)が自治会館として使用してきた「バス」を撤去し、跡地で建設を進めていた新会館がこのほど完成。度々建設が見送られてきたが、住民らの声が集まり、形となった。5月16日(土)に竣工式を行う予定だ。
バスの使用が始まったのは、1980年頃。新和自治会では過去にも新会館建設の計画があったが、予定地の下に水路が通っていることなどを理由に2回ほど断念。その後、当時の自治会メンバーが廃棄前の市バスを譲り受け、エンジンを取り外して使用を開始したという。
車体は地域住民らがペンキで塗装し、電気や水道を引いた。車内は15〜20人が入れる広さで、話し合いの場として30年以上活用されてきた。
しかし、ドアや窓の開け閉めがしづらくなってきたことや、室温調節の不便さなどが重なり、使用頻度が低下。新たな自治会館建設の声が活発化していた。そして3年前、40〜50代を中心に8人のメンバーで建設検討委員会が発足。実現に向けて動き出した。
水路工事や資金調達の壁
同会はまず、建物が建てられる場所かどうか、そして資金面の確認を行った。
市や土木事務所の調査によって、地下に通っている水路を移動させなければ建設不可能だと判明。事前に工事が必要となった。
資金面では市の補助が出ることが分かったが、バスの撤去費用など同会が自費で負担する部分も多かった。そのため、自治会館建設用に長年積み立てていた資金を活用。さらに、毎年恒例のイベントを中止にするなど、自治会を挙げて資金を捻出した。
13年6月、同会の臨時総会で地域住民らの賛成多数で建設が決定。その後、補助申請の許可が正式に下り、バス撤去や水路の工事、測量などを経て今年1月から基礎工事が開始。3月16日にほぼ全ての作業が終了し、最終的な確認作業を行った上で5月16日、竣工式を行う予定だ。
「小さな自治会でも出来る」
完成した自治会館は広さ25平米。流し台やトイレも設置した。イスや冷蔵庫等、必要な物は安価で手に入れ、できるだけ経費を削減する工夫をしたという。
新和自治会は世帯数62(企業等含む)。南部連合の中でも小規模だが、「小さい自治会でも会館を建てられるという証明になった。誇らしいこと」と鈴鹿会長。さらに、「手続き等は大変だったが、自治会内の土木建築関係に詳しい人や、区や土木担当者の方の支えも大きかった。作ることが目的ではなく、今後さまざまな場面で使っていきたい」と意気込んだ。
近年若い世代の移住によって子どもが増えてきたという同自治会。新たな拠点を得たことで、地域間のさらなる交流が期待される。
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