2013年6月、津波の被害に遭った岩手県大槌町の漁協に、一隻の定置網漁船が贈られた。その名は「瀬谷丸」。瀬谷区の有志らが被災地で炊き出しを行った際、「仕事をするための船がほしい」という漁師の声を受け、12年3月に実行委員会を正式に発足。区内で募金活動を行い、集まった3625万円が形になった。
それでも、「贈って終わりではない。長い支援が必要」というのが同会の思いだ。被災地に年2〜3回足を運んでいる露木晴雄会長は、「5年経ち、復興にも差が出てきている。何が必要か、地元の人たちと一緒に考えたい」と力を込める。
同実行委は今後、組織をNPO法人化することを決めた。支援を継続していくための決断だ。情報を把握するため、現地にもパイプ役となる人員を配置するなど、体制を整えていく。「この1年で、協力してくれる新たな仲間も増えた。NPOになれば活動にも幅が出てくるはず」と露木会長。発足当初からの目標は、「瀬谷丸」が2代、3代と代替えをしながら長く大槌の漁業を支える存在になること。「今の子どもたちが将来、『あの瀬谷丸は…』と話題にしてくれたら嬉しい」
三陸の海で採れた海産物の販売や募金への呼びかけなど、今後も以前と変わらぬ活動を続けていく予定。復興の歩みを見守りながら、息長く支えていく。
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