横浜市消防局は、2030年救急出場件数が15年比で約6万件増(1・36倍)の年間24万件超にのぼるという予測を発表した。増え続ける出場に同局は、救急車適正利用の呼び掛けや、病院救急車活用の検討などの取り組みを行っていく。
市内の救急出場件数は2008年以降増え続けており、15年には年間約18万件にのぼった。今後も増加が予想されることから、同局は今年7月から横浜市立大学医学部臨床統計学教室と共同で、将来の救急需要予測の研究を進めてきた。
予測には消防局が持つ、15年間分約250万人の救急搬送記録を使用。人口や外国人宿泊者数の増減なども加味し、データが揃う2030年まで予測した。この結果、30年には年間24万件超まで増えると算出。交通事故による救急出場が減る一方、急病と一般負傷は増加し、特に65歳以上に対する出場件数は、全体の約70%に及ぶ(15年は約53%)ことがわかった。
特に現在ピークである午前10時台の出場件数がさらに伸び、平均40件(15年は28件)となると見込まれる。今年、出場件数の多かった8月9日には、10時台に47件の出場があった。このときは全70隊中8割強にあたる60隊の救急隊が活動。同局担当者は「30年にはこうした状況が恒常的に起こるのでは」と話す。
市は今年度、救急隊を神奈川・南各消防署と杉田消防出張所に新たに配置し、70隊から73隊に増強。来年度以降、国が「人口当たりの救急隊数の基準」とする77隊を目指し増設するが、「地域によって出場可能な救急車がなくなる状況や、現場到着時間がさらに延びる事が懸念される」という。同局はこうした予測に対し、今後も市大との研究を継続。現場到着時間の延伸予測などを立てる一方、様々な取り組みを行っていく。
病院救急車の活用も
対策の一つとして検討されるのが、医療機関が所有し、主に他施設への転院搬送に使われている「病院救急車」の活用。町田市や八王子市では、在宅医療を受ける人の状態が悪化した際、医師の判断で救急搬送に利用できる取り組みがすでに導入されているという。
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