認知症の人を早期に診断して、適切な治療や介護が受けられるようにすることを目的に横浜市が2015年度から進めてきた「認知症初期集中支援チーム」の設置が、9月1日に市内全区で完了した。
認知症は兆候があっても「加齢のため」と思い込むなどして、受診が遅れるケースがある。重症者を増やさないため、政府は2013年度に高齢者に積極的に関わり、早期の対応につなげる支援チームを設ける方針を打ち出した。これを受け横浜市では基本的に各区内の医療機関に委託する形で15年度から段階的に設置を進めてきた。
支援チームは医師や保健師、看護師らで構成。区や地域包括支援センターと連携しながら認知症の疑いのある人の自宅を訪問し、医療機関の受診や介護サービスの利用支援、状態に応じた助言などを行っている。
認知症は家族の理解不足や本人の拒否が強いケースも多く、受診に至る頃には症状が進行している場合もあるため、支援チームの設置はこういった「出遅れ」を防ぐことにつながる。
昨年度実績171人
市健康福祉局高齢在宅支援課によると、8区でチームが稼働した16年度は75人、設置区数が16区に拡大した昨年度は171人を支援した実績を残している。同課では「医療機関のスタッフが訪問することで的確なアドバイスができると同時に、医師からの進言で家族や本人も受診に前向きになるケースも多い」と支援チームの導入に伴う効果を話す。
また、今後の課題については「チームの稼働が始まったばかりなのでまだまだ実績は少ないが、チームの枠組みを超え、横断的に好例を共有することや、関係機関との連携をスムーズに図ることが重要になってくる」と説明する。
市が公表している「よこはま地域包括ケア計画」によると支援チームの設置が始まった15年度時点で認知症の疑いがもたれる市民の数は14万人とされている。これが団塊の世代が75歳以上となる25年度には1・4倍となる20万人に到達すると推計している。
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