瀬谷区北部にある旧田んぼで、絶滅が危惧されている野草「オオアカバナ」がこのほど見つかった。発見者は環境保全団体「瀬谷環境ネット」の中村多加夫さん。神奈川県植物誌調査会の横浜ブロックによると、同会が把握している限り、オオアカバナが県内で確認されたのは初という。
オオアカバナは6月から8月にかけて紫紅色の花を咲かせる野草。茎は直立し、高さは1・5mまで伸びる。横に伸びる根茎を持つ。湿った草原や休耕田などに生育しており、中部地方以北などで稀に分布。環境省が国内の絶滅危惧種をまとめたレッドリスト(2019年版)によると、絶滅の危険が増大している「絶滅危惧II類」に分類されている。
区内の環境保全に努める瀬谷環境ネットの中村さんは、区内北部の旧田んぼで定期的に野鳥や昆虫の観察会を行っている。7月20日の観察会で、これまでに区内で見たことがない植物を発見。県内の植物誌を編纂している同会の協力を受けて調べたところ、オオアカバナだということが判明した。「4、5年前、コガモがこの田んぼに飛来したことがある。その際に種が運ばれて花を咲かせたのではないか」と中村さん。発見後も定期的に観察を続けており、9月13日の時点では寿命により花は枯れている。中村さんは「根が残っていたら、来年も咲く可能性はあると思う」と見解を示した。
10年近く水生生物や植物などを観察し、その記録を続けてきた中村さん。瀬谷環境ネットの活動以外でも、これまでにナミルリモンハナバチや藻の一種であるヒカリモを区内で発見してきた。
オオアカバナの発見についても「観察し続けてきて良かった。そうでなければ気づかなかったかもしれない」と話す。また、区内の田んぼが減ってきていることについても触れ、「田んぼは様々な生き物が集う場です。今残っている田んぼや自然をしっかり残していければ」と語った。
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