第70回芸術選奨文部科学大臣賞および新人賞が3月4日に発表され、和光大学(町田市)の表現学部総合文化学科教授の長尾洋子さん(五貫目町在住)が、2019年8月に刊行した「越中おわら風の盆の空間誌〈うたの町〉からみた近代」で、評論等部門の新人賞を受賞した。初めて自分ひとりで書いた同書での受賞に「意外だなぁと思いました」との感想を述べた。
同賞は文化庁が1950年から毎年、芸術各分野において優れた業績を挙げた人や新生面を開いた人に対し贈られる。
今年度は文部科学大臣賞19人、文部科学大臣新人賞11人が選出。文部科学大臣賞には俳優の内野聖陽さん(演劇部門)、声楽家の加納悦子さん(音楽部門)など各分野で活躍する人たちの名が挙がった。新人賞には長尾さんをはじめ、史上初めて芥川賞、直木賞、三島賞、山本賞全ての候補作に挙がった小説家の宮内悠介さん(文学部門)らも受賞。
研究成果まとめる
おわら風の盆は、富山県八尾町で毎年9月に開催されている伝統行事。長尾さんは16年にわたり越中おわらを研究しており、同書にはその成果が記されている。新人賞の受賞にあたっては、「文化地理学の方法から緻密な現地調査と社会文化史的な考察とを創造的に組み合わせ、近代日本の社会変遷の中での空間誌という未踏の分野を切り開いた」との高い評価を受けた。
同書は基本的には学術書なので読者は限られてしまうが、章ごとに研究アプローチが異なるため、学術的な分析を述べた部分もあれば、踊りや歌詞の歴史を追った内容もある。長尾さんは「越中おわらに興味ある人なら十分に楽しめます。文化を作り上げた本ととらえて欲しい」とコメントした。
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