横浜市の65歳以上人口比率が21%を超え、高齢化により認知症者が増加する中、市は医療や介護面での支援拡充のほか、サポーター養成講座等による認知症患者や家族を地域で支える体制づくりを急いでいる。
2013年9月末時点で5人に1人が65歳以上の市は、団塊世代が75歳となる25年には4人に1人が高齢者になると見込まれている。
高齢化とともに認知症患者が増加し、国が定める基準に沿った認知症高齢者の人数は、13年9月末時点で約7万4千人。こちらも25年には約12万4千人になると推計されている。
この状況を踏まえ、市では様々な面での体制づくりを進め、医療面では市認知症疾患医療センターを横浜舞岡病院(戸塚区)など3カ所に整備。診断や治療のほか専門医療窓口を設け、相談に対応している。
また、各区にある地域ケアプラザや一部の特別養護老人ホームには、地域包括支援センターを設置。社会福祉士などが認知症や介護に関する相談を受け付け、関係機関と連携しながら必要な支援や治療が受けられるよう支援を行っている。
制度面の整備と並行して行われているのが、認知症サポーターの養成。これは、養成講座の開催を通じて認知症に関する正しい知識や対応方法などを学んでもらい、地域で暮らす認知症患者やその家族を見守る人を増やそうというもの。
認知症患者には徘徊などを繰り返すケースもある。サポーターが増え、地域の対応体制が充実することで、早期発見や患者が住み慣れたまちで暮らし続けられる環境づくりをめざす。市は05年から取り組みを始め、13年11月に市内サポーターが10万人を超えた。
市の担当者は「認知症は誰もがかかる可能性のある脳の病気。早期の発見と治療で、進行を遅くさせられる場合もある。正しい知識の習得と早めの相談をお願いしたい」と話している。
専門医の見解は
日本認知症学会専門医・指導医で認知症サポート医の板東邦秋氏(ばんどうクリニック院長)も、認知症の早期発見や診療体制の充実のためには、様々な機関の連携が必要と話す。
その一つは「認知症初期集中支援チーム構想」。例えば、病識がなく病院にどうしても行かない認知症患者の家に専任スタッフが訪問し、必要に応じて病院等で受診させるまでの手配をすることで、認知症の早期治療につなげると考える。
市が整備する「認知症疾患医療センター構想」では、全国で最も先進的といわれる『熊本モデル』をベースに拠点となる施設を増やし、かかりつけ医や在宅医療関係者との連携をはかる。
かかりつけ医のサポートをする認知症サポート医と疾患医療センター、初期集中支援チームとの連携も必要となる。
これらの実現には、厚生労働省が14年度からの5か年計画で提案するオレンジプラン(認知症ケアパスの作成、地域での生活を支える医療・介護サービスの構築など7つの提案)を推進し、二次医療圏(約30万人規模)より細かい、区単位での地域連携が必要と板東院長は言う。地域ケアプラザや包括支援センター、訪問看護師、リハビリ、病院、診療所、行政、患者家族の会など様々な分野の人が定期的に集まる「顔の見える交流会」を設けたいと話す。
脳卒中疾患ではすでに連携しているため、認知症でもできると板東院長。各種機関へ連携強化に向けた提案を行っている。
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