「どうぞ気軽にお入りください。山猫が、ぐりとぐらが、桃太郎が――待っています」。手作りの木の看板を掲げた図書室「モチモチ文庫」が上飯田町の住宅地にある。地域の人がふらっと立ち寄れる憩いの場を目指して始まり、15年の節目を迎えた。
図書室には、子どもたちに人気の絵本から絶版になった書籍まで、メンバーや知人からの寄付で集めた3000冊を超える本がズラリと並ぶ。小さなベンチに座ってじっくりと、床の上で足を伸ばしてのんびりと、自由なスタイルでくつろげる空間が好評という。利用者の多くは小学生。「中学生になると部活動や塾で来られなくなるけれど、時々声変わりした子が『お久しぶりです』なんて立ち寄ってくれることも」と幸せそうに語るのは代表の笠原八重子さん=写真前列左。
中に入り「なんか自由って感じ」とうれしそうにくつろぐ子、日本語の勉強に訪れる外国籍の子、「3時半にモチ文ね」と待ち合わせをする子など、15年間の思い出は数えきれない。「この地域の子は小さいころから来ているから自然と本好きになるんでしょうね」。小学4年生で400冊を読んだ女の子もいるという。
代表の笠原さんがモチモチ文庫の発案者。「子どもからお年寄りまでが一緒に交流できる場を」と小学校の教員だった20代のころからずっと心に抱き続けていた。図書室という形を選んだのは、当時の環境によるところが大きい。学校にも本が少なく、地域にも図書館がなかった。子どもたちの成長には、読書が大切であると感じていたが、そのための環境が整っていなかったという。退職を機に元同僚に声をかけ、3人で開設したのが、このモチモチ文庫だった。名前の由来は、教員時代に集会で読み聞かせをした思い出の絵本『モチモチの木』からとった。
読み聞かせも
現在は7人のメンバーで「無理せず、楽しく」をモットーに、和気あいあいと活動している。図書室の運営のほか、近隣の飯田北いちょう小学校や介護施設での読み聞かせの活動も行っている。技術向上のために、朗読講師の岩原幸子さん=写真前列中央=を招き、『外郎売の口上』で正しいアクセントなどに注意をしながら研鑚を積んでいる。「2001年に依頼を受けてから、読み聞かせが好評で」とメンバーも笑顔を見せる。
モチモチ文庫(上飯田町4169の7)は、毎週水曜日の午後2時から5時まで開館。第5水曜日は休み。現在、本の寄付は受け付けていない。問い合わせは黒木さん【電話】045・302・4392。
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