泉区文化振興委員会の委員長を務める 下村 幸子さん 中田西在住 73歳
踊りの魅力と人に支えられ
○…現在、21日から始まる泉区民文化祭に向けた準備の真っ只中。芸術・芸能団体などが所属する同会。自身も日本舞踊の蔦扇流家元として精力的に活動しており、文化振興委員会にも発足当初から参加してきた。委員長に就任したのは昨年。人々を取りまとめるようなタイプではないと話し、「まだ右往左往しているところ。それでも周囲の人たちの支えのおかげで、なんとか頑張れています」と感謝の言葉を口にする。
○…7年ほど前、夫が亡くなったことを機に、師匠の元から独立。ちょうど同じころから泉区舞踊協会の会長も務めている。1年を通して地域の祭りやイベントなど、会の活動に大忙し。祭りで彩る「泉区民音頭」の振付も舞踊協会によるもの。一度覚えたら、時間が経っても、遠く離れた場所に行っても、音を聞けば自然と体は動き出す。踊りには不思議な力がある。故郷の思い出の一つに区民音頭があればとも語る。
○…伝統文化を後世に残そうと、数年前から地域の小学校にも週に1度足を運ぶ。踊りはもちろん、人として、日本人として是非身に付けてほしいという、礼儀作法や着付けなども指導。「卒業後も続ける子がなかなかいないのは残念だけれど、子どもたちにとって良い機会となっていれば嬉しい」
○…函館市出身。母に言われるまま、5人姉妹で日本舞踊を習っていたが、子どものころは踊りが大嫌いだった。姉妹で一番上達が遅かったからだ。「人前に出るのが恥ずかしくて、大嫌いだった子が今でも続けているなんて。どうしてなのか不思議」。昔こそ苦手だったが、身体で心を表現することが踊りであると気付いた時、舞台に立つことが好きになった。自身の振付を弟子に踊ってもらうことも幸せだと目を細める。おっとりした雰囲気も、着物に身を包み、扇を手にすれば、キリリとした家元の顔つきに。今日も美しい舞で人々を魅了する。
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