ひとり暮らしの高齢者らを対象に月に1度季節の便りを送る「泉寿通信友の会」。活動は10月で24年目に入った。「インフルエンザが流行ってきます。ご自愛ください」。季節に合わせた何気ないメッセージと楽しいデザインで毎回受け手の心を和ませている。
活動する会員(書き手)はおよそ40人。毎月1回、泉寿荘の一室に集まり、ハガキの宛名書きと仕分け作業などを行っている。送り先(受け手)は、70歳以上の一人暮らしの人やグループホーム、デイサービスの利用者らだ。
発足は1992年10月。当時、同所でちぎり絵教室の講師として活動していた故・阿部桂子さんが代表となり活動をスタートさせた。阿部さんは新聞の投書欄でハガキによるボランティアを知り、地元でもやりたいと、すぐに泉寿荘に相談を持ちかけた。以来、「寂しさを少しでもお慰めできたら」という思いで20年以上活動。阿部さんが亡くなった後も他の会員がその遺志を継いで続けてきた。
現在、受け手は200人以上いるが、始めたころは活動自体を広めるのに苦労したと初期からの会員は振り返る。
個性豊かなデザイン
送る枚数は多いが、文章もデザインも同じものは1つとしてない。書き手1人が7通程度を担当。各自が家で独自のイラストなどに言葉を添えて仕上げる。
「あえて毎月書き手が変わるようにしています」と話すのは、代表を務める伊藤恵子さん。パソコンが得意な人はイラストをハガキに印刷。この他、写真、水彩画、貼り絵と表現の仕方は人それぞれ。毎月書き手を変えることは、マンネリ防止にも一役買っていて、受け手にも好評だ。
活動には秋葉保育園とレインボー保育園の園児たちも参加。折り紙で作ったドングリに顔を描き「いつまでもげんきでいてね」という文字を添えたかわいらしい作品が届くこともある。
文章に配慮
自分にとっては楽しかったことでも、内容によっては、相手の寂しさを増長させる可能性もあり、本文にはデザイン以上に気を配っている。決して独りよがりのカードにならないよう、季節に合ったあいさつやちょっとした出来事なども、相手の気持ちを考えながら、言葉を選ぶ。文字は大きめに、文字が多すぎないようにと、高齢者にとっての読みやすさも大事な要素の一つだ。
”心の交流”
「あくまで一方通行。負担がかからないように基本的に返信はいりません。キャッチフレーズは、1枚のハガキを通した”素敵な心の交流”です」と伊藤代表はほほ笑む。だが、時には「いつも楽しみにしています」「娘家族と暮らすことになりました。今まで届いたハガキは大事にします」といった返信が届くこともある。不要とは言っても、「うれしい瞬間です」と会員らは話す。
年に一度、10月に書き手と受け手が集まる交流会は双方にとってもっとも楽しみな時間となっている。今年も22回目が終わったばかり。一人暮らしの高齢者ら約20人と会員、保育園の園児、関係者らが集い、踊りやマジックを披露したり、食事を楽しんだりした。
長く続けている分、書き手も受け手もメンバーは移り変わる。伊藤代表は「おたよりを書きたい人、もらいたい人どちらも募集中」と呼びかける。受け手は70歳以上の一人暮らし、老人施設に入居している人などが対象。書き手の活動は毎月第1木曜日の午後。
詳細や申し込みは、伊藤代表【電話】045・801・8344。
泉区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|