横浜で初となるインドゾウの繁殖を目指し、このほどよこはま動物園ズーラシアから金沢動物園に雌のチャメリーが移された。現在、国内の動物園で飼育されているアジアゾウは89頭。125年のゾウ飼育の歴史で繁殖は16例、8月現在で育っているのはその半数だという。数十年後には国内でインドゾウが見られなくなる可能性もあり、今回の移動は大きな使命を持っている。チャメリーとのペアリングが期待されているのは、雄のボン(40)。金沢動物園では、今後様子を見ながら繁殖につなげていく予定だ。
9月20日のチャメリー移動初日。「新しい部屋に入るまでは落ち着き、数十分後には餌もたくさん食べた」と、ズーラシアで成長を見てきた古田洋さんは振り返る。ボンや雌のヨーコ(38)と柵ごしに顔を合わせるなど、徐々に環境に慣れ同居の日を迎えた。
放飼場にチャメリーを放し、ボンがいる石柱の扉を開けて待つこと約10分。その姿を捉えると、チャメリーは一目散にボンの元へ。だがボンは後ろ足でチャメリーを蹴りながら後退。2頭は激しくぶつかり、普段と違う様子にヨーコの鳴き声が場内に響く一幕も。「圧倒的な力の差を感じてすぐにチャメリーが引いた。一番心配していた力関係に決着がついてよかった」と古田さんは安堵する。
また、ボンに背中を向けたまま動かないチャメリーの姿も確認。「ズーラシアでは見られなかった受け入れ態勢のサイン。今後の希望が見られた」。
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