30周年を迎えた泉区弓道協会の会長を務める 佐藤 健児さん 岡津町在住 72歳
上へ上へと狙い定め
○…「男女関係なく、華奢でも高齢でも楽しめる。私も決して体が大きい方ではないでしょう」。誰でも、何歳でも始められるのが生涯スポーツである弓道の良さと語る。子育て後や定年退職後を入門の機会に選ぶ人も少なくない。弓を引く腕だけでなく、踏ん張ることで下半身も鍛えられる。「足腰が強くなるから、さらに競技を長く楽しめる。コツコツと諦めなければ上達するんです」。稽古する若者を見る目が弧を描く。
○…恩師の後を継ぎ、会長に就任し15年になる。泉スポーツセンターの弓道場は、センター内に併設されている市内唯一の場所。開館の話が出た当時、仲間とともに陳情し、実現した自慢の稽古場だ。神奈川県は全国でもトップクラスの活発さ。区内2つの高校にも弓道部があり、老若男女がスポセンで稽古に励んでいる。「生涯スポーツとはいえ、黙っていたら減っていく」と危惧し、初心者向けの教室を開くなどし、裾野を広げる取り組みを続けてきた。その成果もあってか、春・秋の区民大会参加者は年々増加しているという。
○…他の競技と比べ、ハンデが少ないからと「暇を潰す程度の気持ち」で弓道部に入った大学時代。的に当てる楽しさはあったが「真剣度が足りず、実力はそこそこ」。卒業後はやめるつもりだったが、会社に弓道場、自宅そばにスポセンと恵まれた環境と偶然が重なり、気付けば弓道が掛け替えのない存在に。「妻と引き合わせたのも実は弓道」と照れ臭そうに笑う。
○…弓道に大切なのは、無駄のない美しい動き、的を射る実力だけではないと語る。「礼に始まり礼に終わる。礼儀や道具を大切にする精神が重要」。高段位ともなると的中だけでなく、各動作や心の持ち方までが昇段審査の対象だ。「当たれば気持ちがいいけれど、それでもまだまだ上を目指す気持ちでいる」。教士7段の腕前だが、今も満足することはない。難関の8段を目指し、弓を握る。
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