端午の節句になるとビューンという独特のうなりを響かせながら、大きな凧が大空を舞う。泉区で400年続くといわれる「相模凧」だ。この伝統文化を後世に伝えるため活動する相模凧いずみ保存会では、あす5日の凧揚げ会に向けて入念な作業を進めている。
相模凧は、子どもの成長や豊作を願って作られた大凧。正方形の竹の骨組みに和紙を張り、迫力ある武者絵や初節句を迎える子どもの名前、歌舞伎絵などを描くのが伝統。時期や目的に合わせて、縁起物や泉の文字で製作することもある。端午の節句に空高く舞い上がる姿は、長年親しまれてきた泉区の風物詩の一つだ。だが、近年は材料となる真竹の減少や製作技術の継承者不足、凧揚げができる場所の確保といった課題も増え、だんだんと空を舞う姿を見られる機会が少なくなってきている。
そんな中、400年の歴史を守るため、活動を続けているのが泉区伝統文化保存会に所属する相模凧いずみ保存会(相川健志会長)だ。1975年、前身となる地域有志による凧の会が発足。その後、改称や会員の入れ替わりを経て、6年前、現在の保存会としての活動が始まった。6人ほどが中心となり、イベント開催や展示などの周知活動、新しい凧の製作などに尽力している。下和泉で生まれ育った相川会長は「子どものころに聞いていたうなりの音がだんだんと聞こえなくなってきた時、残さなければと感じた」と話す。会員は30代から70代で、相川会長は作り始めて8年目の若手。40年、50年作ってきたベテラン勢から見れば「まだまだひよっこ」で勉強の日々だ。
同会では、今年も5月5日に天王森泉公園そばで揚げる凧の準備を約1カ月前から進めてきた。4月20日には10尺(約3m)もある大凧の組み上げ作業のため、4人が集結。細く切った竹を縦横ななめに並べ、長さや紐の結び具合などを何度も確認しながら、4枚に分かれたシートを張る作業に没頭した。近くを通りがかった女性も凧を見て「もうお節句の時期ね」と笑顔に。「地域の方も開催を楽しみにしてくださっていて、『今年もやるのですか』と早くから声がかかりました。会場付近の田畑の耕作者の皆さんにもご協力いただいています」と相川会長。今年は開催を前に、近隣の子どもを対象に凧揚げ体験や歴史紹介も初企画した。
凧揚げ会は、5日の午後2時から4時まで。雨天時や強風時は中止。観覧無料。会場付近には駐車場がないため、公共交通機関の利用を。詳細・問い合わせは相川会長【電話】045・777・4156、または同会のフェイスブックへ。
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