新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2年連続で開催を見送った泉区の秋の風物詩「横浜いずみ歌舞伎公演」が今年10月、3年ぶりに復活する。主催する横浜いずみ歌舞伎保存会は公演に向け5月から稽古をスタート。大きな声を発する歌舞伎の特性上、コロナ禍での稽古は試行錯誤だが、25回目の公演を成功させ伝統文化を伝えようと一歩を踏み出した。
横浜いずみ歌舞伎は大正から昭和初期にこの地で活躍した「市川花十郎一座」の功績を受け継ごうと、泉区制10周年の記念行事の一つとして1996年に旗揚げされた。演技のみならず衣裳や小道具の制作に至るまで保存会のメンバーがプロの指導を受けて行い、「区民手作りの本格歌舞伎」として親しまれてきた。
中止となった2020年の公演は四半世紀の節目となる25回目で関係者の士気も高く、10月の開催を断念した後も年度内の開催を目指したが叶わなかった。保存会の馬場勝己会長は「2年間何もやっておらず、3年休んだら続かないと思った。伝統文化なのだから続けなければ」と再開に踏み切った理由を口にする。
演目は「芝居前泉賑」
公演は10月15日と16日、泉公会堂に決まった。現在17人の会員のうち12人が舞台に立ち、20年の公演でも予定していた演目「芝居前泉賑(いずみにぎわい)」を新たな形で披露する。
「芝居前泉賑」は石切梶原や幡随長兵衛、切られお富など、6つの歌舞伎演目の名場面を寄せ集めたもの。5月7日から始まった稽古はコロナ対策もあり、演目ごとに実施。現役役者を招いての月2回の稽古と自主稽古で本番を目指していく。歌舞伎はマイクを使わずに後方座席まで声を届けるため、3年ぶりの稽古に「以前のように声が出ない」と苦笑いするメンバーの姿もあった。
今年の衣裳や小道具については、「以前作ったものを補修し、できるだけ自前で用意したい」としている。馬場会長は再開に「今は嬉しさよりも不安が勝っている」と話すが、「いかに観客にアピールできるか。意志を強く持って、粗相のないように精一杯やりたい」と意気込んでいる。
公演のチケットは8〜9月ごろに発売予定。
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