「満福いずみ食堂」の代表として地域の人に温かい食事を提供する 飯野 紀子さん 和泉町在住 49歳
美味しい食事で満福に
○…午後5時。ドアを開けて元気なあいさつをしながら子どもたちが入ってくる。出汁から取ったこだわりのお味噌汁を頬張り、笑顔があふれる。昨年4月に中田東で始まった「満福いずみ食堂」の代表として1年半以上が経った。開始から欠かすことなく毎月第2・4木曜日に食事を提供している。「継続していくことで常連の方も増えた。だんだん打ち解けて家族のように食卓を囲めることが本当にうれしい」。そう語る表情はあたたかい。
○…子どもの貧困問題が大きく取りざたされるようになった2015年。孤食やカップ麺などで食事を済ませている子どもたちを想うと、胸が締め付けられた。「子どもの飢えほどつらいものはない」。何とかできないかとフェイスブックで投稿したのがきっかけ。賛同者が増え、子どもが一人でも美味しい食事ができる場所として食堂を作ろうと、ボランティアの主婦から成る「おせっかいチーム」を立ち上げた。
○…食へのこだわりが生まれたのは長男が4歳の頃。滲出性(しんしゅつせい)中耳炎を患い、なんとか体に良い食事を食べさせたいと出合ったのが無農薬の食材だった。農薬や添加物を使わない食材で作った料理のおいしさを知り、「美味しい食事ができることは幸せなことなのだ」と実感した。それから保育園や地区センターなどで簡単料理教室の講師を務めたり、自費出版のレシピ本の執筆も行う。
○…「子どもたちだけでなく、地域の人も気軽に来てくれる食堂になった」とにこやか。柔らかい物腰だが、実は大学で電子工学を専攻したリケジョ。電子機器メーカーのSEとして勤務していた。食堂の活動のみならず、11年3月の東日本大震災による汚染土や放射能の問題にも敏感に反応する。「食を取り巻く環境は良くないかもしれない。だからこそ美味しいものを食べることにこだわってほしい」。そして今日も食堂の扉を開く。
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