いずみ桜の苗を育てて中和田南小に寄贈した 和田 久光さん 和泉町在住 75歳
故郷の景色に桜残す
○…厚さ1ミリほどしかない桜の木の皮。ナイフで削った木の枝と木の幹をピタリと合わせて一つにする。桜の接ぎ木は神経を使う作業の連続だ。それでも「故郷(ふるさと)と子どもたちのために花と緑を残したい」の一心で続けてきた。現在、区内で育てられている「いずみ桜」の生みの親で、普及活動に力を入れる。花の魅力を問うと「咲いているのを見ると気持ちがいいし、優しい気分になれるよね」とにこやか。
○…「いずみ桜」の元となった木に出合ったのはもう何十年も前の話。それは友人宅の庭にある「あたみ桜」の大木だった。幼いころから身近にあり、自身にとってどこか特別な存在だったこの桜が倒木した際「立派で美しい桜を残したい」と、友人に頼み枝を分けてもらったのがすべての始まり。独学で接ぎ木して一本の桜の苗を育てはじめた。試行錯誤の末、半年以上経って苗が成長し、養生が取れ、花を咲かせた時の感動は今も忘れられない。
○…生まれ育った下飯田町。駅前の花壇の整備や和泉川下流の鍋屋橋、いずみ桜広場までつながる川沿いに菜の花を植えて通る人の目を楽しませている。中和田南小など地元の小・中学校では環境ボランティアとしても活動中。「子どもたちに素敵な場所だと思ってもらえる環境を残したい」。守り育み、次世代へとの思いは人一倍。このほど同小の創立50周年記念事業の一環としていずみ桜の苗木を寄贈。自身は同小南分校の出身で、手塩にかけた桜の苗木が”母校”とも言える場所で花開く日が待ち遠しい。
○…明るい笑顔と豪快な語り口に、地元の自然を愛してやまない優しさを併せ持つ。根っからの兄貴肌で、さまざまな活動において常にリーダー的存在だ。それでも「これからは若い人につないでいかないと」と謙虚な姿勢も忘れない。地域で作られ育てられた桜の開花は間もなく。「きっといい景色になる」と笑った。
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