作家の高橋源一郎さんとソーシャルワーカーの向谷地(むかいやち)生良(いくよし)さん、環境活動家の辻信一さんによるトークライブが1月7日、善了寺(矢部町)で開催された。辻さんの司会のもと、「弱さの力」をテーマに、病などの弱さを受け入れることの大切さなど、各々の考えを伝えた。
主催は明治学院大学国際学部付属研究所。トークテーマの「弱さ─」は、病気や障害、貧困など社会的弱者とされる要因を指し、同大国際学部教授を務める高橋さんと辻さんの共同研究のテーマでもある。
高橋さんの次男は2年前の1歳の時、急性脳炎の診断を受け、重度の障害が残る可能性が4割以上あることを告げられた。高橋さんはその直後、絶望していたが、徐々に回復していく息子の姿に喜びを感じ、病を受け入れることができたという。「今やっている仕事は代わりがいるかもしれないが、病を抱えた子どもの世話は神様から与えられた自分にしかできないこと。弱者の存在を与えられると、人は大きな力がわいてくる」と自身が弱さの研究を始めた原点を述べた。
「病でつながる」
向谷地さんは、統合失調症などを抱えた精神障害者の地域活動拠点「べてるの家」(北海道浦河町)の理事を務める。「弱さを絆に」など、当事者の障害をありのまま受け止めるという理念に高橋さんも感銘を受けたという。向谷地さんは、妄想や幻聴などによりトラブルを引き起こす人の周りには人が集まることを例にし、「病むことで人とのつながりが強くなる」と話した。それに高橋さんも同意し、「子どもが病気になり、改めて親子のつながりが強まった」と応えた。
またライブでは、同拠点のメンバーも来ており、「病気になったおかげで出会えた人もいた」と自らの思いを発する場面も。来場した看護師の松井幸子(こうこ)さん(56)は「弱さを出すことの強さを感じた。患者さんにも今日の話を伝えたい」と話していた。
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