高齢者住宅、問われる経営手腕 法改正で入居一時金などの受領禁止に
昨年10月に施行された高齢者住まい法の改正にともない、一昨年5月に施行したばかりの高齢者円滑入居・高齢者専用賃貸住宅(高円賃・高専賃)登録制度は廃止され、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)登録制度が現在、運用されている。
住宅の面積・設備・バリアフリー構造のほか、安否確認・生活相談などのサービス内容に一定の基準を設けたもので、登録事業者には、家賃・サービスなどに関する情報開示や誇大広告の禁止が課せられる。
中でも注目は、入居一時金や権利金など家賃・敷金・サービス対価以外の金銭の受領が禁止されたことで、「消費者保護」を強く打ち出した制度といえる。
サ高住か有料老人ホームか
同制度により、旧・高円賃(戸塚区内では17件)と高専賃は、今年3月末までに「サ高住」か「有料老人ホーム」の、少なくともどちらかに登録しなければならない。
サ高住に登録すると建設資金の一部が国庫補助金の対象になり、融資や税制上の優遇措置が講じられているほか、有料老人ホームの届出も不要となる。
神奈川県・横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市からサ高住の登録事務を委託されている、(社)かながわ住まい・まちづくり協会の京野暉雄さん(事業推進担当課長)は、「有料老人ホームは登録基準が厳しいためサ高住に登録しようという事業者は多い。県下では年度内に70〜100件程度、サ高住として登録される見込み」と語る。
低所得者向けとは言えず
しかし、課題も山積している。サ高住の利用費目安は月15〜20万円(物件により異なる)で、家賃補助などの助成制度はない。「サービスは手厚くなるかもしれないが、年金・生活保護者向けの住宅とは言えない」(同協会)との見方もある。
また、すでに登録済みの事業所を見ると「ひとくくりにサ高住といっても、現時点ではサービスにかなりバラつきがある」(横浜市建築局)のが現状だ。
現時点では、入居する際に様々な名目で数百万〜数千万円の一時金を請求する有料老人ホームもある。中にはこれを元手に事業を開始したり、月々の入居費を低額にしている施設もある。
2015年度以降は、サ高住のみならず有料老人ホームでも家賃・敷金・サービス対価以外の金銭の受領が禁止される。少子高齢化が加速する中、安定した経営を維持しながら、高齢者の実情に見合う料金体系・サービス提供をどのように実現していくのか―。事業者に課せられた課題は大きい。サ高住の登録情報は同協会HPまたは【電話】045・664・6896まで。
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4月18日