消臭・抗菌作用のある光触媒を布にプリントする新技術を開発し、周知活動を続ける 青柳博英(ひろひで)さん 矢部町在住 69歳
今も変わらぬ開発意欲
○…消臭・抗菌作用のある光触媒を布に定着させる研究を始めたのは14年前。焼却場で作業する際に当時、社会問題となっていたダイオキシンを処理できないかと考えた。布への定着は難しいとされ、多くの企業が失敗してきたが、捺染(なっせん)会社の協力を得て、1年半という短期間で技術開発に成功。特許と日本工業規格(JIS)も取得した。「需要がもっと増えたらなぁ」と12年前の試作品第一号のハンカチを見つめる。
○…3年前まで金沢区で船舶のボイラーの組み立てや整備をする会社を運営。客船「飛鳥」の整備をしたこともある。会社を退いた現在も経験を生かし、座間市の米軍基地でボイラー整備に携わる。「本来は研究に本腰入れたいところだけど、資金がね」と苦笑い。整備会社を立ち上げた父に似たのか、ものづくりが好きなのは子どもの頃からずっと変わらない。捺染技術以外にも横浜市と共同開発した排水・排ガス分解装置や、廃油を利用した焼却場用の耐水塗料などがある。「人がやらないこと、できないことをやるのが好き」というシンプルな思いがいくつもの技術を生み出した。
○…趣味は油彩画。「きつい、汚い、危険の3Kの中で働いてきたからね。美しさは忘れちゃいけないですよ」。休日は山下公園や仙石原に出かけ、風景画を描く。区の作品展に出品したり、通りすがりの人に絵を売ってと言われるほどの腕前。「10歳は若いつもり」と最近はテニスにも挑戦。仕事に趣味に開発にと毎日を思う存分楽しんでいる。
○…捺染布地を介護の現場など、福祉のために使ってほしいとの思いも強い。寝たきりの人の布団の上にかけただけで部屋のにおいが消えた例もあるという。まずは多くの人に商品を知ってもらうことが目標。6月23日、24日に行われる開発品の展示発表即売会にも出品し、商品をPRする予定。「『これがなきゃ』と思われるほどになったらうれしいですね」と目を細めた。
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4月18日