戸塚区民オーケストラの団長(神奈川フィルハーモニー管弦楽団クラリネット奏者) 新野 慎一さん 下倉田町在住 57歳
人生は音楽そのもの
○…32年の歴史を持つ区民オケの生みの親。戸塚公会堂ができた当初、練習で利用していたことから当時の館長と仲良くなり「アマチュアオケを作ってみよう」と雑談の中でオケは生まれた。区在住・在勤で団員を呼びかけると集まったのは約100人。横浜市内初の区民オケの先駆けとなった。現在は仕事の傍ら、団員の指導などにあたっている。
○…東京で生まれた。祖父、父と3代続くクラリネット奏者。幼いころからクラリネットが身近にあり、父のバンドのステージなどを間近で見て育った。しかし「吹きたいとは思わなかった」という。中学では柔道部に入部。途中、母の実家がある戸塚区へ越してきたが、転校先の戸塚中には柔道部がなかった。「どうしよう」と迷っていたとき、「クラリネットを吹いてみないか」と父親が一言。試しに口を当ててみるとすぐに吹けた。「楽しい」。そこからクラリネット一筋の日々が始まった。
○…多くのプロを育ててきた千葉国夫氏らに師事し、練習を重ねた。毎日頭の中はクラリネットのことだらけ。時にやめたくなることもあった。「先生からは『やめちまえ』って言われることもあった」と笑うが、他の道は考えられなかった。大学在学中、発足間もない神奈川フィルに誘われ入団。現在、時には月15回の本番をこなす。文化庁主催のプロジェクトで全国を回ることもある。5年ほど前に訪れた沖縄県西表島の小学校での体験は今でも鮮明だ。校歌をオケで演奏したところ、子どもたちが大感激。一緒に歌いながら泣く姿に、自身も涙が出た。「やっていて良かった」。いい音を聞いてもらうことこそが、この仕事の醍醐味だ。
○…一男一女の父親。年ごろで親離れしていく子どもたちに日々、淋しさを覚えることも。「子育てはいくつになっても初めての経験ばかり。まさに人生そのものが音楽」と一言。多くの出会いと経験、感情がクラリネットを通じて音になる。
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4月18日