5月3日は「憲法記念日」。本紙では、施行66年となる「日本国憲法」について、県内全弁護士1358人が登録する「横浜弁護士会」の仁平信哉新会長(55)に、その重要性や横浜の現状に即した基本的人権の状況などについて話を聞いた。
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そもそも憲法とは私たちとどのような関わりを持つものなのか。仁平氏は「基本的人権の定義が記された最高位の法律として、人権保護の視点から、国民生活にとって必要不可欠な存在」と指摘した。その上で、活発化する昨今の改憲の動きについては「改正規定の96条改正は、問題があるというのが日弁連の考え方。憲法学者においてもそれが多数説だ」と強調した。
また、96条の先にあるとされる9条改正については、「様々な意見があり、個人的見解としては民主主義(多数決)に委ねるべき」と、その是非についての明言は避けた。
子どもの人権「深刻」
25条でうたわれている生存権に関わる生活保護の問題で、支給額の抑制を求める声が出ていることについては、「支給額が生存権を満たしているか否かがポイント」とし、個々の問題で是非を判断すべきという姿勢を示した。
約7万5千人の外国人が暮らす国際都市横浜において、外国人の人権保護も大きな課題だ。「人間である以上、人権は認められるわけであって、一般論としては保護されるべき」との基本的姿勢を示した。
横浜市も主要施策の一つとして進めている女性の社会進出については、一番の弊害として保育園の未整備をあげた。女性の産前産後をサポートする環境整備は、政治の問題であり社会的使命だと強調。また、金銭的メリットが多いとされる現行の扶養家族をめぐる諸制度が、逆に女性の自立を妨げる一因になっていると法整備の不備を指摘した。
いじめ問題を含む子どもの人権を取り巻く状況に関しては「とても深刻」との認識を示した。その上で、市内で年間2千件を超す児童虐待について、「保護者を罰することは問題の根本的解決にならず、その解決策として人間関係を保つコミュニティー力の向上が必要」と強調した。
後進育成を重視
仁平氏は任期1年を「100年後も信頼される存在であるために、若手育成に注力していく」と語った。
※仁平信哉氏…
1983年司法試験合格、84年に早大法学部卒。86年に第一東京弁護士会に弁護士登録し同年横浜弁護士会に登録。06年から10年まで市包括外部監査人を務める。横浜商工会議所議員。
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