創立50周年を迎えた戸塚社交飲食業連合会の理事長を務める 菅野 顕治さん 泉区在住 59歳
光照らし続ける黒子
○…バーやスナックなどの経営者で構成される戸塚社交飲食業連合会。半世紀にわたり夜の賑わいを創出してきたが、近年は長引く不景気や後継者不足で組合員は全盛期の半数に減った。予定される消費増税が客足に響く可能性もあるが、「お客様に明日の英気を養ってもらうのが我々の仕事」。どんな苦境にも、もてなしの精神は動じない。
○…北海道美瑛町出身。芸能の仕事にあこがれて18歳で単身上京し、俳優やタレントの養成校でデビュー前のキャンディーズらとレッスンを積んだ。夜は生活費を賄うためにアルバイトとして横浜のクラブで歌い、手に職をつけようと調理師学校にも通った。夢に向かって突き進んでいた20歳で運命の出会いを果たし、翌年結婚。生計を立てるためしばらく義父の仕事を手伝い、24歳で戸塚に小さなスナックを開いた。右も左も分からない初心者ながら「自分は北海道代表。鍛え上げた”道産子根性”で乗り切る」――。3人の子宝にも恵まれ、家族を守るために懸命の努力を重ね続けた。
○…「体力なら誰にも負けない自信があった」。幼少から腕っぷしが強く、故郷ではいつもガキ大将。高校時代はアマチュアレスリングで北海道チャンピオンに輝き、インターハイにも出場した。「今でも資本は腕2本に足2本。体力勝負でやってきたけれど、人間そう長く働けるもんじゃないよ」。そう笑う豪快な横顔に衰えは感じない。
○…大企業が社屋を構える土地でありながらも、「戸塚には接待に使える店がない」との声を受けて開業したキャバレー。広いフロアにスポットライトが照らすステージ、ホステスには当時珍しかった外国人も起用し、店内はサラリーマンであふれた。「誰もがスター気分を味わえる華やかさがキャバレーの魅力。我々は裏方として光を照らす応援団のようななもの」。充実した時間を過ごした客の背中を見送る瞬間が何よりもの喜びだ。
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4月18日