歌手活動を通じて被災地支援活動を続けている マイク河原さん(本名:河原道雄) 矢部町在住 69歳
歌に生きる希望託し
○…東日本大震災発生後、テレビで連日目にした被災地の壮絶な光景。「自分にできることは何か」。そう自問し、気付けば机に向かっていた。すべてを飲みこんだ津波の非情な仕打ちを嘆き、それでも明日を信じようというメッセージを乗せた曲『生命(いのち)』。発生する印税すべてを義援金にあて、プロ歌手として先日も故郷の山梨でチャリティーコンサートを行うなど各地で被災地支援活動を続ける。
○…高校時代から周囲に「声が良い」ともてはやされ、大学で混声合唱団に。本格的に歌のイロハを学んだ。就職で上京後もアマチュア合唱団で歌い続けたが、結婚を機に退団。だが、歌唱力は勤め先でも評判で接待にひっぱりだこ。バーで歌っては得意先を喜ばせた。50歳を過ぎ、力試しに出場したカラオケ大会で受賞。まもなく、その実力がレコード会社の目にとまった。
○…長女・浩子さんは1歳の時に頭部へ怪我を負い、てんかんの後遺症が残った。成長につれて症状は落ち着いたが、小学5年時に突然大きな発作を起こして寝たきりに。会話もできず、級友が青春を謳歌する間もベッド上での生活を余儀なくされた。しかし、「『自分は足手まとい』なんて思わせたくない。私たちが幸せなら娘も安心する」と家族は一致団結した。65歳で退職し、本格的に歌手活動を始めた一作目は浩子さんへの想いを綴ったもの。だが、リリースから9日後、浩子さんは心不全で急逝。37歳だった。『あなたがいたから家族が一つになれた あなたがいたから優しさと生きる力 人生を知った』。完成までに、食事介助の間も何度も歌って聞かせていた。「私たちの気持ちが分かって安心したのかな」
○…歌に励まされたという感想が届くことがある。辛く悲しい出来事を題材にした曲も、その歌詞にあふれるのは希望の言葉。「生きているって素晴らしいし、悲しんでいるだけでは仕方ない。そんなことを伝える歌手になりたいんです」
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4月18日