1993年に横浜市地域有形民俗文化財に登録された「南谷戸のおおわらじ」がこのほど、3年ぶりに新調された。4月27日には式典が行われ、作業にあたった「南谷戸和楽路(わらじ)会」(金子喜久男会長)の会員らによって掛け替えられた。
現在の戸塚区下倉田町の一部にあたる「南谷戸」で大わらじを奉納する風習は、この地域に住む若手農家らが大正初期、米づくりの副業で藁加工を始めたことがきっかけ。五穀豊穣などを願い、南谷戸の象徴として作られた。1993年には米国ハワイ州のホノルル美術館からの依頼で展示用のわらじを製作し、船で送った歴史もある。
風雨にさらされるため、傷み具合によって3〜4年ごとに作り替えられるわらじのサイズは、重さ約200kg、全長3・5m、幅1・5m。地域住民ら約40人が所属する同会が、代々伝わる製作図面や、降ろした古いものを参考にして約一週間で作り上げる。水分を含んですぐに傷まないように縄をきつく編むが、機械は使わないため、非常に力のいる作業だ。
1世紀以上にわたって受け継がれてきた南谷戸の伝統。金子会長によると、会員らは活動に協力的で、製作作業にも積極的に参加してくれるという。一方、課題は藁の入手。2011年以来となった今回の作り替えで使用した藁は軽トラックで2台分におよんだが、田植えの時期から農家へ予約しておかなければ、近年は確保が難しいという。
掛け替えを終え、自身も20代のころから製作に携わってきた金子会長は、「代々受け継がれてきたものをストップさせるわけにはいかない。正直ホッとしている」と感想を話していた。
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