所有者不明の猫を救う(上) 夜間に衰弱する幼き命
横浜市動物愛護センター(神奈川区・本間豊センター長)に引き取り・収容された猫等(若干数の小動物含む)は、2012年度に1556頭に上った。過去3年間でほぼ横ばいと一向に減る気配はなく、殺処分数も1090頭、188頭、527頭と推移するなど、失われる小さな命が後を絶たない。所有者不明の猫を取り巻く現状を追った。
「収容動物の可能な限りの譲渡」を目的に掲げて開所した同施設。飼い主の都合で飼えなくなったペット等を動物愛護法35条に基づいて引き取るほか、市民の通報を受けて職員らが回収した動物が収容されており、職員の獣医師らが譲渡先を見つけるべく、日々徹底した健康管理やしつけ等を行っている。
施設の収容許容数は犬70頭、猫120頭。仮にオーバーしてもケージを重ねるなどして対処するため、収容数過剰を理由に処分することはないという。一方、「生育不良」「傷病による予後不良」、噛み癖などが直らない「馴致(じゅんち)困難」に該当すると、殺処分の対象になる。
12年度にはボランティアの支援もあって545頭の譲渡に成功するも、ほぼ同数が殺処分された。その大多数は市民宅の庭先などで生まれた生後90日未満の子猫。親猫と離れ離れになり収容される子猫は職員が数時間おきに哺乳瓶で授乳するが、人間に懐かずミルクを飲まなかったり、無人となる夜間に衰弱するケースが多く、その後回復が見込まれないと「生育不良」として殺処分の対象となる。
本来ならば親猫に抱かれて安心して育っていたであろう命が、苦痛はないとはいえ鎮静剤や麻酔薬により安楽死させられる現実。センターが果たせる役割にも限りがあり、求められるのは飼い主のマナーやモラルであることは明らかだ。
法令に基づいた施設のため24時間体制の運営は難しいが、本間センター長は「夜間に子猫を預かれる”乳飲みボランティア”が増えれば、状況は大きく変わるかもしれない」と、今後の可能性を探る。
――つづく
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4月18日