区内の振り込め詐欺 前年比2.3倍の39件 被害総額約7893万円
8月20日現在の戸塚区内の振り込め詐欺発生件数が39件に上り、昨年同期比22件の増加となった。被害総額は約7893万円で前年比約2976万円の増。例年、9月から年末にかけ増加傾向にあることから、戸塚警察署(長塚二郎署長)では警戒を強めている。
神奈川県下で発生した振り込め詐欺発生件数は、8月20日現在1037件、被害総額は約30億7271万円。前年比では410件、10億1648万円の増となるなど、深刻な事態となっている。
戸塚区内の件数の推移をみると、一昨年に対し昨年は31件と約2倍。今年は既に昨年一年間の総数を超えた。
月別では2〜6月で前年同月を上回り、特に5、6月では前年の5件に対し、今年は21件と4倍超。被害者の約8割が女性、このうちの大半が70歳代以上となっている。
主な手口は還付金詐欺とオレオレ詐欺。還付金詐欺については昨年0件だったが、今年は14件発生し、被害総額は約1191万円に上る。戸塚署によると還付金詐欺の被害者は男性も多く、被害件数・被害額ともに県下でも増加しているという。
実際にあった例は次のようなもの。まず「区役所保険課」を名乗り「医療費の還付金がある。後に銀行から連絡させる」と持ちかける。数分後に実際に行員を名乗る男から電話がかかり銀行に行くよう指示し、ATMから送金させるというものだ。区役所職員に加え、銀行員に偽装することで被害者を信じ込ませている。
地域で抑止講話
戸塚警察署では町内会・自治会等からの依頼を受け、会合等で振り込め詐欺防止の講話を行っているが、企業や団体からの講演依頼も増え、特に今年6月の依頼が多かったという。担当者は「地域一体となって(振り込め詐欺を)防ぎたい」と話す。
企業との連携
戸塚署では7月、株式会社URコミュニティ東日本支社と、警察情報掲示に関し覚書を締結した。
同社は高齢者も多く入居する賃貸住宅、区内7カ所・1890戸を管理する企業。覚書の内容は住宅の掲示板に警察情報を掲示するというもので、同署では既に振り込め詐欺を注意喚起するチラシを掲出しているという。
覚書の締結にあたっては、警察からの要請に同社が快諾して実現。同社・横浜南住まいセンターの吉原護センター長は「(入居者に)事件の情報等を速く伝えることで、関心や安全につながれば」と口にし、長塚署長は「(同社の)迅速な対応に感謝。入居者に直接情報を見てもらうことの防犯効果は大きいはず」と期待感を示した。
その他の対策も
同署では振り込め詐欺の抑止に向け、他にも対策を練っている。
昨年10月からは老人クラブ連合会名簿を活用し、直接、署員が電話することで注意を促している。8月からは「高齢者世帯の把握と心に残る注意喚起」と銘打ち、警戒活動を実施している。高齢者世帯を把握した上で一覧表を作成し、戸別訪問を行う。
9月から始まるのが「金融機関等と連携した水際阻止対策」。管内の金融機関に一日2人、私服の署員を固定配置し、金融機関の職員とともに、必要に応じ利用者に声かけを行うという。
年末に向け増加傾向
例年、盆を過ぎたころから年末までは、振り込め詐欺が増加する傾向にある。担当者は「詐欺の手口を理解し、自分の身にも起こり得るものとして意識していただきたい」と住民らに注意を呼びかけている。
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