県政報告【8】 遅れている災害対策を次々と指摘県民を守る備えをさらに強化せよ 決算特別委員会で質疑応答神奈川県議会議員 北井宏昭
10月に開かれた平成26年度決算特別委員会で、私が継続して取り組んできた災害対策について、【1】災害時の治安悪化対策強化【2】応急給水体制の整備促進【3】県立高校の災害備蓄【4】天井の崩落対策――の観点から、当局に対し質問・要望をしました。
東日本大震災発災後、被災地で活動した経験を基に、県民の財産・安全を守るための施策提案です。
【1】治安対策が盲点、財産と安全を守るために
大規模災害発生時には治安が非常に悪化するため、治安維持対策が必要です。
地域の皆様によるパトロールや児童の見守り活動などは、平時において大きな成果を上げていますが、有事への備えを強化することによって、地域の皆様の財産と安全を確保しなければなりません。そこで再度、災害時の治安維持対策を提案しました。
大規模災害時、治安は悪化するものと想定すること
県は今年度から、地域の自主防犯活動団体や市町村、警察署等が参加して、地域の主体的・継続的な防犯活動を進める「地域連携モデル事業」に取り組んでいます。当局からは、今後、こうした取組みを拡大しつつ、効果検証と研究を行いながら、大規模災害も見据えて、地域の自主防犯活動の活性化と活動の充実に取り組んでいく旨の答弁を引き出しました。
また、東日本大震災当時、発災2週間を過ぎてもなお犯罪が相次いでいました。全国各地から警察力が結集したものの、人命救助や検視、交通誘導整理に多くの人手が必要で、治安維持には充分な人手を割くことが出来なかったのです。
女性の安全も守る準備
当時の混乱状況下、犯罪が多発したにもかかわらず、警察は、被疑者等を勾留することが困難で、不拘束措置を取らざるを得なくなりました。当然、女性が被害者となる犯罪の発生も憂慮しなければなりません。
そして、今年9月の関東・東北水害の災害現場でも治安は悪化したのです。
公助には限界があります。自助・共助について、防災面の強化は進んでいますが、治安維持面ではさらなる強化が必要です。
治安が悪化することを、平時から県民に普及啓発し、災害時には各地域で防犯活動を行う必要性の認識を高めることが大切です。
県としても、今後、自主防災組織の研修や訓練の機会を捉えて普及啓発を図っていくとのこと。そこで当局には、平時と有事の違いをしっかりと認識し、県民の財産と安全を守ることへの支援を要望しました。
応急給水体制の整備促進で重要なのは、ライフライン=水道が断たれても、各家庭にまで水を届けられるよう準備することです。
私は東日本大震災・発災の約2週間後=断水が復旧した直後=から宮城県内の当時70歳代の単身女性世帯宅で寝泊まりしていました。そこで聞かされたのが、「とにかく水を運ぶのが大変だった」こと。給水車が来ても灯油の販売と違い、各戸ごとに配達はしてくれないのです。実際、震度6強の余震による再断水の時には私が車で水を運びました。
断水は長期化する恐れあり
当時、仙台市内では、約半数世帯が断水、復旧率50%まで回復するのに10日を要しました。給水車を含めた拠点給水所は147ケ所。1ケ所あたり1500世帯・約3400人という広範囲をカバーしなければなりませんでした。厚生労働省のデータでも、震度6強で最大断水率74%・断水期間14日間とあります。
重たい”水”をどう運ぶ?
高層住宅の割合が高い本県内で電気や水道が長期間止まった場合、各家庭まで水を運ぶことがどんなに困難か。県には、地域の方々が水の運搬体制準備を促すための周知と、その支援を強く要望しました。
【3】地域の安心のため、県立高校にも食料備蓄
横浜市内の県立学校は、その多くが避難所に指定されておりません。しかし有事の際、どの学校にも多くの住民が避難してくることは容易に想像できます。そのため私は、避難に来る可能性のある住民のためにも、備蓄食料を準備すべきと考えています。
東日本大震災の教訓から、帰宅困難者対策として食料や飲料水、携帯トイレを安全防災局が整備している高校もあります。しかし、それは避難所に指定されていない県下98校の内のたった6校だけです。
全ての学校を避難所にせよ
私の質問に対しては、避難が長引く場合は市町村防災部局と連絡を取り合い、毛布や食料等の必要な物資の搬入を依頼するなどの対応を図る予定、と「のん気」な答弁もありました。
しかし県立学校に人々が殺到することも予想されます。そこに食料や飲料があると思い避難してくる住民も多いでしょうから、関係部局と連携し早急に整備するよう要望しました。
東日本大震災では、大きな空間を持つ建物の天井がいたるところで崩落。ショッピングセンター・大規模量販店・体育館・映画館・音楽ホール・駅舎等など、いざというとき避難所になる建物も含まれます。
当時の被害は、地震規模の割に建物本体の損傷は比較的少なかったものの、天井や設備の損傷が多くみられました。つまり建物は無事でも内装材である天井は崩落したのです。これは人命にかかわる危険性を含みますので、耐震化対策を早急に行う必要があります。
既存建物の対策は進まず
平成26年4月、天井の脱落防止措置を盛り込んだ建築基準法施行令が改正されましたが、問題はそれ以前に建築された建物です。「要緊急安全確認大規模建築物等耐震化支援事業費補助」は当初予算で1億3千万円が計上されましたが、執行額は、わずか819万円。県の天井崩落対策への取組みを問い、しっかりと今後の対策を講じるよう要望しました。
* * *
【1】と【2】については、遅れている行政対応を待たず、皆様方・各地域でも検討を進めていただければと思います。まもなく震災から5年が経過します。まだしかし準備の遅れている災害対策はたくさんあります。これまで県が見過ごしてきた点に、どんどん切り込んでいきます。
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