戸塚区を中心に福祉施設への慰問活動を行っている歌手の 浜岡 久二夫さん 泉区在住 71歳
歌の力 シニアに届け
○…「自分には、歌がある」――。そう思ったのは定年を迎えた60歳の頃。それ以来、横浜市内外の福祉施設を回り、歌を届けてきた。「自分の歌を聞いて泣いてくれたり、体が動かない人は声を上げてくれたり。そんな姿が心に響いてね」。メジャーデビューを果たした現在も「シニア世代を元気づけたい」という思いは強い。「大げさかもしれないけれど、『歌の力』はあると思う」と話す。
○…高知県生まれ。「そろって歌大好き」という9人きょうだいの8人目で、ギターや歌声が響くにぎやかな毎日を過ごした。歌手を目指そうと思ったのは18歳の頃。単身上京し、遠藤実歌謡スタジオの門を叩いた。「田舎者だから『簡単にできる』と信じていたけれど、これが大間違いだった」。28歳の頃には結婚し、子どもも授かった。しかし歌手としては芽が出ず、徐々に生活の方に軸足が移っていく。決定的だったのは、人に騙され夢破れた歌手仲間を見たことだった。「厳しい世界に腰が引けたね」。夢を諦め、勤めていた戸塚区内の小売業に専念することを決意した。
○…60歳になり、長年勤めた会社で定年を迎えた。残りの人生で何か社会貢献できないかと考え、思いついたのが福祉施設への慰問活動。施設利用者の笑顔や、ボランティア仲間から背中を押されたこともあり、2012年に、『夫婦と言う名の終着駅』という曲を自主制作。これがレコード会社の目に止まり、今年3月のメジャーデビューにつながった。若き日の夢が、50年越しに叶う瞬間だった。
○…定年前に取得したカラオケ講師の資格を生かし、戸塚区内外で歌の指導を行おうと生徒を募っている。ラジオやネットテレビへの出演も増え、活躍の場は広がり続けている。現在、書き溜めてきた詩に曲をつけようとしているところだ。「友達には『今更やるのか』と言われるが、”我なすことは我のみぞ知る”だよ」と笑顔を見せた。
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4月18日