戸塚町の畳職人・神崎征美さん(62)と平戸の仕立職人・吉田光子さん(78)がこのほど、「神奈川の名工」に選ばれた。これは県内の優れた技能者を県が表彰するもので、11月15日には表彰式が行われた。
「神奈川の名工」の選考基準は、一定の技術職に25年以上従事し、製造現場の生産性の向上や後進の育成に尽力している45歳以上の人。今年は計26人を選出している。県立音楽堂で開かれた表彰式では、中島正信副知事による表彰状の授与が行われた。
「手作業」を貫き通す
神崎さんは1977年、先代の父・卓蔵さんについて畳職人の道を歩み始めた。2005年には(有)神崎畳店の2代目を継ぎ、一般住宅はもちろん、神社仏閣での緻密な畳製作も多数請け負ってきた。寺院で畳を貼り替える際は、一般的に紋縁(もんべり)と呼ばれる丸い柄が並ぶ縁を用いるが、この柄を規則的に合わせるのは至難の業。「今はこうした作業も機械に任せる職人が多いけれど、手縫いが一番。糸が緩んでいないか自分の目で隅々まで確認でき、仕上がりが頑丈になる」と話し、今回はこうした技術へのこだわりも称えられた。さらに、わらの切断も全て手作業で行い、その際に使う包丁も自身で研いでいる。「ものづくりは”手”でやることが大事。その方が温かみがある」と微笑む。
また、神崎さんは県畳工業協同組合の副理事長も務め、イグサを使ったものづくり教室や技能検定の講師としても活躍。こうした点も評価につながり「自分が選ばれたのには驚いたが、今後も畳の魅力を伝えられるようにもっと精進したい」と熱を込めた。
繊細なテクニックを伝授
吉田さんが仕立職の世界に入ったのは1978年頃。「もともとおしゃれが好きだったけれど、なかなか素敵な服に出会えなかった。それなら自分で作ろうと思って」。一念発起し、子育ての傍ら服飾学校に通い始めた。卒業後は都内のブティック店で23年に渡り婦人服作りに従事。数をこなしていく中で迅速かつ丁寧な裁縫技術を培った。その腕前を生かし、これまで服飾の国家試験や高校生の職業体験の講師を務めるなど、技能の伝承に貢献。こうした過程が今回評価された。
2004年からは洋裁教室も経営。服作りの基本から和服のリメイクまで指導内容は多岐に渡る。「着心地の良い服を作るコツは”慎重な縫製”だけ」ときっぱり。また、指導の際は”人とは違う服作り”をモットーに掲げ、着こなしのアドバイスをすることも。今回の表彰に関しては「今までの仕事が評価されて嬉しい。これを機に洋裁を学ぶ人口を増やし、服作りの楽しさを伝えていければ」と穏やかに話した。
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